寝る子は育つといいますが、これは科学的にも正しい事実。しっかり寝ることで、身体や脳の成長に大切な成長ホルモンが十分に分泌されやすい環境を作ります。十分な睡眠がとれないことで成長ホルモンの分泌が減少し、低身長になってしまったり、骨や筋肉の成長が遅くなることも考えられます。
ただ、この睡眠不足が及ぼす身体への影響は、子どものみならず大人にも大きな問題となっています。
しかし近年は、子どもの睡眠時間も短くなってしまっています。文部科学省の「データから見る日本の教育2006」によると、小学生の睡眠時間は1970年に9時間23分だったが、2000年には8時間43分となり、30年の間で40分も短くなってしまっています。
睡眠不足は成長に影響するだけでなく、健康面や学力、注意力の低下も問題となることが分かっています。
■全世代が睡眠不足の日本
日本は諸外国に比べ、赤ちゃん世代から大人世代まで、睡眠時間が短い傾向にあります。国民の平均睡眠時間は1960年から2005年までの45年間で約50分も短縮差され、特に子どもたちや就労者の睡眠時間が短いことが指摘されています。
そして、経済協力開発機構が2009年に発表した諸外国の睡眠時間データでは、最短は韓国で469分、次いで日本470分、ノルウェー483分の順でした。反対に、最長はフランスで530分、次いで米国518分、スペイン514分の順で、フランスと日本の差は何と1時間もあるという結果に。
睡眠時間が減少するとともに、健康被害のリスクは増えている傾向があるのです。
■睡眠5時間以下は肥満の危険
睡眠不足は日中の眠気や活動意欲低下、記憶力低下などだけでなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼします。
そして、5時間以下の睡眠の人は肥満傾向が多い、代謝が低下しやすい、血糖を下げるインスリンの働きが弱まり糖尿病になりやすいということが、様々な研究で分かっています。ダイエットが成功しないのは、睡眠不足の影響もあるかもしれません。
■睡眠不足はダイエットを妨げる誘惑だらけ
さらに、寝ていれば何かを食べるという機会も減るけれども、起きていると眠気覚ましに何かを食べる、美味しそうな食べ物を目にしたり香りをかいで、お腹が空いていなくてもつい食べてしまうなど、食べ物を口にする機会が増えてしまうのも要因の一つになります。
身体が太りやすくなってしまっているところに、さらに食べ物が入れば、身体にどんどんと蓄積されていってしまいます。
睡眠は、何時間寝るという時間よりも、自分のペースの睡眠ができるように推奨されています。その中でも最低6時間はとるように厚生労働省が勧めています。心地よく起きられる、疲れが残らないような睡眠がとれると、ダイエットにも健康にも良いですね。