iPS細胞(人工多能性幹細胞)のうち、腫瘍になりやすいものを見分ける目印となる3種類の遺伝子を発見したと、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授らのグループが発表した。
再生医療への利用が期待されているiPS細胞の品質向上に役立つ成果で、米国科学アカデミー紀要に近く論文が掲載される。
再生医療ではiPS細胞を、病気やけがで傷ついた細胞や組織に代わる細胞に変化させて移植する。ただ、うまく目的の細胞に変化せず腫瘍化する、質の悪いiPS細胞もあるため、これを効率よく見分ける技術の開発が課題だった。
今回、グループは人の皮膚や血液などからiPS細胞を40種類作製し、神経細胞に変化させて遺伝子の働き方を調べた。その結果、マウスに移植すると腫瘍を作るiPS細胞が7種類見つかった。これらの細胞ではHHLA1、ABHD12B、C4orf51と呼ばれる3遺伝子が、質の良いiPS細胞より5~10倍強く働いていた。グループの高橋和利講師は「iPS細胞の質の確認では、数百万円かけて全遺伝子を調べていた。3遺伝子だけのチェックなら1回2万~3万円で済む」と話している。
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