高齢者が介護を必要としないようにする体づくりに、静岡県下田市は、サーフィンを採り入れるユニークな試みを始めた。
波に乗ることで体から余分な力が抜け、バランス感覚を養う効果があり、日常生活でも少しの体力で楽に動けるようになるという。全国でも珍しい試みに、体験した高齢者からも「痛みが取れた」「体が軽くなった」と好評だ。
サーフィンを採り入れた介護予防教室「海遊塾スタッフ養成講座」の受講生は、66~79歳の女性6人と男性1人の計7人。9月から月2回、講義とマシンを使った陸上でのバランス訓練を行った後、同市吉佐美(きさみ)の入田浜で、子供用の発泡スチロール製サーフボードの上に腹ばって、波に乗る練習に取り組んでいる。
受講生の全員が未経験者だったが、今ではすっかりサーフィンの魅力のとりこに。10月28日、同海岸で行われた練習では、参加者らはウエットスーツに身を包み、歓声を上げながら波の上を滑った。同市高馬の女性(72)は「こんなに楽に滑れるなんて最高。気持ちも若返る」と満面の笑顔で話した。
市健康増進課によると、高齢者の多くは日常生活で力に任せた硬い動作を繰り返しがちなため、従来取り組んできた筋力強化が中心のトレーニングではかえって疲れやすく、けがにもつながりやすい。
そこで目を付けたのが、もともと下田市で盛んに行われているサーフィン。水に浮き、波にうまく乗るために余分な力を抜くことが必要なサーフィンの動作を取り入れることで、筋力とともに体の柔軟性やバランスが良くなり、日常生活での動作や痛みも改善するという。けががもとでO脚になっていたという、この女性も「楽に立てるようになり、体のバランスが良くなった」と効果を実感している。
受講生たちからは「もっと海に入る機会を増やして」と要望が高まっているが、12~3月はサーフィンの練習はお休み。来年4月以降は、いよいよ波の上でボードに立つことを目指して練習を再開する予定だという。
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