衣替えも終わり、ニットを着る機会が増えてきた。しかし、ニットは毛玉ができたり、型崩れしたりと扱いづらい側面もある。きれいに着続けるためにはこまめなお手入れが必要だ。
◆ブラッシングを
ニットといえば、気になるのが毛玉だ。三陽商会(東京都新宿区)品質管理グループの渡辺咲子さん(43)は「毛玉ができる原因は摩擦」と話す。着用中に起こる摩擦によって生地の表面の繊維の端が、けば立つ。けばが絡まり合い、毛玉ができる。
編み方にもよるが、アンゴラやカシミヤなど柔らかい繊維は毛玉ができやすい。ウールなどの場合は毛玉ができても自然に脱落することがあるが、ポリエステルなどの合成繊維は繊維の強度が強く、毛玉が残って目立ってしまうこともある。渡辺さんは「なるべく毛玉ができないように、着用後にはブラッシングを心掛けて」と話す。
着用後は、けばが乱れているので、ブラシで毛並みを整え、ほこりを取る。テーブルなど平らな場所にニットを置き、上の方からブラシを掛ける。「スナップをきかせるようにブラッシングして」と渡辺さん。ブラシは、カシミヤなどの柔らかい素材には柔らかい毛のものを使うなど素材に合わせて使い分けるといい。
毛玉ができてしまったらどうすればいいのか。「はさみや毛玉取り器のほか、硬めの毛のブラシで毛玉が取れます」(渡辺さん)。毛玉をひっぱらずに丁寧にカットする。ひっぱって取ると、取った後がけば立ち、毛玉ができる原因になる。毛玉が埋もれて切りにくい場合は、粘着テープで毛玉を浮かび上がらせる。毛玉取り器を使うときは、強く押しつけると生地そのものを痛めてしまうため、気をつける。
◆畳んで保管
編み目が緩く、糸が飛び出した場合は「飛び出した周囲を縦横に伸ばしてひっぱれば目立たなくなります」(渡辺さん)。はさみで切って処理をすると、切った所を中心に、どんどん穴が大きくなるから、やめた方がいい。
着用後はハンガーより、畳んで収納する。渡辺さんは「ハンガーに掛けると自重で型崩れすることもある。使う場合は幅の広いものを選んで」。長期間保管するときは畳もう。
型崩れやしわに効果的なのがスチームアイロン。少し浮かした状態でスチームアイロンを当てると、しわがなくなり、ふんわりと仕上がる。渡辺さんは「ハンガーの跡程度の型崩れだったら、スチームアイロンで戻ります」と話す。
ニットを長くきれいに着るためには、こまめなケアが必要だ。
■手洗いし型崩れに注意
ニットを家で洗う場合はどうすればいいのか、洗濯アドバイザーの中村祐一さん(29)に聞いた。
洗濯表示に従うのは基本だが、中村さんは「洗濯機が使える場合でも最初に洗うときには手洗いがお勧め。洗ったときに変化がないか確認して」と言う。
洗面器やバケツに水をため、洗剤液を入れる。「服を沈めてから5分くらい置いてから洗うと洗剤液が浸透して、汚れがよく落ちます」。袖口など汚れがひどい場合は、その部分に洗剤液をつけて握っておく。
水の中で摩擦を起こすと、けば立ちの原因になる。できるだけ動かさず、押し洗いをする。手洗いの場合でも洗濯ネットに入れるのがいい。「軽く畳んだときの大きさにぴったりのサイズを使って。水の中で不必要に動くのを防げます」
洗うときは色落ちや硬さなど風合いに変化がないかよく見る。2、3回すすぎ、柔軟剤は最後のすすぎのときに入れる。脱水は洗濯機を使ってもいいが、「できれば1分以内で」(中村さん)。
干すときは平干しがいい。スペースがない場合にはハンガーを利用する。中村さんは「ハンガーを3本使い、袖と胴体の部分も掛け、重さを分散させれば平干しに近い状態になります」とアドバイスしている。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20131030528.html