【角野貴之】オレンジ色の大きなカボチャが通行人をお出迎え――。佐渡島南部・小比叡を走る国道350号沿いで、約50メートルにわたって約80個の大きなカボチャが並ぶ。31日のハロウィーンで使うちょうちん用で、地元の中川農園が「道行く人に楽しんで欲しい」と並べた。
カボチャは農園と直売所「グリーンキャップ」を運営する中川靖雄さん(76)が栽培した。直売所内にも大小50個以上がゴロゴロ。大人の女性がうずくまったくらいの大きさの物は、重さ約40キロ。中川さんは「80キロくらいのもあった。だいぶ売れた」。元はたばこ、今はキクの切り花をおもに売っているが、「他にも収入源を」と約15年前から販売を始めたという。
2月下旬、ビニールハウス内で、種苗会社から買ったハロウィーン用カボチャの種をまく。5月中旬から露地に出し、8月下旬から直売所で販売。食用より実が大きく育つため、苗の間隔を開けて植える手間と、重いために2、3人がかりで運び出すのが大変だ。
ハロウィーンは、秋の収穫を祝って悪霊を追い返す、西欧起源の祭り。今は日本各地でも開かれる。米国などのように、カボチャを切り抜き、目や口をつけたちょうちん「ジャック・オ・ランタン」を飾る風習が日本でも広がるにしたがって、農園のカボチャも徐々に売れ始めた。
「最近は固定客も増えてきた」と中川さん。英語教室の講師が子どもに風習を教えたいと買ったり、商店の飾りとして買い求めたりする人が来る。観光客が観光バスから見つけて買い込むこともあり、年間100個は売れるという。
中川さんは「いまではカボチャのある直売所と、おぼえてくれている人がいる。道行く人が、楽しんで眺めてくれるのがうれしい」と話していた。
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