免疫異常で関節の炎症・腫れなどが生じる関節リウマチ。起床直後の手指の関節に力が入らないなどの症状に気づき、早期治療で関節の炎症を抑えられる「寛解」を目指したい。
1.関節リウマチの起こり方
免疫は本来、細菌やウイルスなどの異物を排除して体を守るための仕組みです。しかし、何らかの理由で自らの正常な細胞や組織を異物とみなして攻撃し、病気(自己免疫疾患)を引き起こすことがあります。関節リウマチはこの自己免疫疾患の1つで、関節内に炎症が起こり腫れや痛みなどが生じる病気です。
多くは手や足の指のような小さな関節から始まりますが、肩、ひじ、ひざ、あるいは股関節のような大きな関節から起こる場合もあります。免疫細胞が、関節を覆っている滑膜を攻撃すると、関節に炎症が起こり腫れや痛みが生じます。炎症が続くと骨の代謝を担っている破骨細胞が活性化して、軟骨や骨の破壊が進み、関節が壊れ、骨が変形して、日常生活に支障が出ることがあります。
2.自覚できる初期症状
関節リウマチの初期には、「朝目覚めた直後に手がこわばる」「関節を長時間動かさずにいたあと動作に支障が出る」「関節が軟らかく紡錘[ぼうすい]状に腫れる」「痛む」といった、炎症によって起こる症状が現れます。こうした炎症が長引くと、症状も重くなるので、早く治療して炎症を止めることが大切です。
関節リウマチは女性に起こりやすく、発症年齢は30~50歳代に集中しています。出産や、けが・感染症、精神的ストレスによって免疫の働きが影響を受けると、関節リウマチが発症するきっかけになる場合があります。
3.治療で寛解を目指す
病気が起きても、薬などの治療により症状がほぼなくなった状態を寛解と呼びます。関節リウマチの場合は、「臨床的寛解」「構造的寛解」「機能的寛解」という3つ段階の寛解を目指して治療を行います。臨床的寛解は、医師が診察したとき関節の腫れや痛みが見られない状態で、治療ではまずこの段階を目指します。構造的寛解は、関節破壊の進行が止まる状態です。機能的寛解は、日常生活に支障がない状態で、臨床的寛解と構造的寛解を実現し、最終的に目指す段階です。発症してから2~3年ぐらいまでの間に炎症を止めれば、全ての寛解が目指せます。関節の変形が見られるようになってからの治療では、機能的寛解を目指すのは困難になりますが、臨床的寛解や構造的寛解を目指すことができます。症状に思い当たる場合は、1日も早く医療機関を受診しましょう。
NHK「きょうの健康」2013年9月23日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20130923-h-001.html