第13回全国障害者スポーツ大会「スポーツ祭東京2013」は13日、陸上や水泳など13競技が行われた。
陸上男子100メートル(肢体不自由)で、十日町市の阿部尋喜(ひろき)選手(53)が、15秒80で第1回大会から13年連続の金メダルを獲得した。
右半身にマヒを抱えているが、高校時代に12秒06で走ったことも。普段は福祉施設で働いており、今大会に向けて勤務後、コーチの高橋章さん(42)とスタート時のフォーム改良に取り組んできた。この日は、4人で走った組のトップだった。
「いつやめようかと考えている」と言いながら、周囲から背中を押されて競技を続けてきた。13年連続は「自分でもすごいと思います」と笑顔を見せた。
◆最高齢三浦カズさん3位
新潟に「三浦カズ」がいる。あのサッカーの「カズ」ではない。フライングディスク・ディスタンス(肢体不自由)に出場した今大会最高齢選手の三浦カズさん(89)だ。7人の選手のうち3位に入った。
くるくると風向きが変わる難しいコンディションだった。立った姿勢からディスクを3回投げ、最も遠くまで飛んだ距離を競うこの種目で、1、2投目は不調だった。最後の3投目。体を大きく左右に回転させて思いっきり投げると、記録は24・22メートル。「最後の最後で何とかメダルをとれた」と笑顔を見せた。
新潟市江南区で夫の武さんと2人暮らし。現役の主婦だし、スポーツを続けたいから「まだ寝たきりになるわけにはいかないのよ」。9年前に自転車に乗っていて交通事故にあい、大腿(だいたい)骨を骨折するなどして足腰が不自由になった。
農家に生まれた。4人のきょうだいの末っ子で、女の子は一人だった。6歳の時に父が病気で他界し、兄たちが出征すると、人に頼らず、母と2人でコメ作りに勤(いそ)しんだ。「苦労はいっぱいしたけれど、それも今に役立っている」
事故後、医師から「このままでは寝たきりになるかもしれない」と言われ、6年前にリハビリを兼ねて、新潟市内の障害者スポーツセンターでフライングディスクを始めた。普段は車椅子で移動するが、競技では介助者なしで立って行うまで回復した。昨年の大会でも銀メダルを獲得した。
「いつまでできるか分からないけど、しっかりリハビリして、来年も出場したい」。(高貝丈滋)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20131013-OYT8T00816.htm