■米独の高卒<日本の中卒
経済協力開発機構(OECD)が8日に公表した「国際成人力調査」では、職業別のほかに学歴別でも各国の成人の社会適応能力が測られた。日本では高校や大学を卒業していなくても、社会適応能力が高く、各国の高卒者と同等以上であることが分かった。
OECDは、調査対象者の最終学歴について、中卒者、高卒者、大卒者の3つに大別し、読解力、数的思考力との関係を調べた。
それによると、読解力では、大卒者で日本が313点に対し、OECD平均は297点。高卒者は日本が289点に対し、OECD平均は272点。中卒者は日本が270点に対し、OECD平均は246点となり、日本はどの学歴でも高得点をマークした。
中でも、中学を卒業し、高校や大学に進学をしていない層が、OECD平均の高卒者と同程度で、米国、ドイツの高卒者を上回ったことが判明。OECDは今回の結果をまとめた報告書のなかで、日本の中卒者の習熟度が高いことを詳しく紹介している。
また、今回の調査では、読解力の上位5%と下位5%の得点差が、日本は129点差と参加国中最小だったことも分かり、成績上位者と下位者の得点差が小さいという日本の特徴も浮かび上がった。
背景に成績下位者の習熟度が他国より高いことがあげられる。読解力の難易度を「レベル1未満」から「レベル5」までの6段階に分けて分析したところ、日本は「レベル3」の問題が解けた人の割合が48・6%と最多に。OECD平均では12%存在する「レベル1」が4・3%、「レベル1未満」については0・6%と極端に少ないことが、全体のレベルを底上げすることにつながった。
一方、OECDが3年に1回実施している、各国の15歳を対象に義務教育で学んだ知識や技能を実生活で活用する力を評価する「生徒の国際学習到達度調査」(PISA)では、近年日本の低迷が続いている。
日本はPISAが始まった2000年、数学的応用力で1位に。科学的応用力も00年、03年と連続2位だったが、09年には、読解力8位、数学的応用力9位、科学的応用力5位となり、中国・上海などの上位に大きく差をつけられた。
今回の調査でも、日本の若年層(16~24歳)は中高年に比べ、他国との差が小さいことが分かった。
調査を分析した国立教育政策研究所国際研究・協力部長の小桐間徳氏は「日本では社会的な適応力が義務教育終了後の教育現場や就業の場で向上している傾向にあるが、基礎力があっての話。初期教育が重要な点に変わりはない」と話している。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20131009086.html