包丁やハサミなどの多彩なモノづくり企業が集積する燕、三条両市の約50社が工場を一斉開放し、見学・体験できる「燕三条 工場(こうば)の祭典」が2日、始まった。関係者は今後、職人の技や魅力に触れるきっかけを学生やビジネスマンらに継続的に提供し、伝統技術を次代に継承する担い手を増やしたいと意気込む。6日まで。
主催は地元企業で構成する実行委員会(委員長・曽根忠幸タダフサ社長)。期間中2万人の来場を見込む。
この日は三条市内で開会式が行われ、その後、昭和23年創業のタダフサ(同市)の工場を報道陣に公開。800~900度に熱した鋼材をたたいて材質を強靱(きょうじん)にする鍛造に始まり、約20の作業を経て包丁に仕上がるまでの職人の手仕事ぶりが披露された。
祭典ではモノづくりを体感できる場も設ける。三条市の国定勇人市長は「子供たちにモノづくりの意識をしっかりと植え付けたい」と意義を強調した。
燕三条のモノづくり産業は、国際競争の激化や技術革新などの影響を受けて空洞化を余儀なくされている。三条市では平成12年に約860事業所あった製造拠点が、22年には597事業所まで落ち込んだ。危機感を強める各社は、自ら市場を開拓する提案型ビジネスの路線を強めている。タダフサも、事業の主力を和包丁からパン切り包丁へと広げ、直営店の開設を計画するなど消費者ニーズに密着する戦略を進めている。
曽根社長は「閉ざされた工場で作業していた職人が客と触れ合えば、新しい商品を作ったりモノづくりの魅力を伝えたりするスキルの向上につながる」と社内活性化にも期待を寄せる。
期間中は地図付きパンフレットをJR燕三条駅構内の観光物産拠点「燕三条Wing」などで配布するほか、シャトルバスを運行させる。問い合わせは三条市役所(電)0256・34・5511。
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