◇完熟、朝採れを出荷 ブランド化「越の雫」
美容と健康に良い果物と注目を浴びているイチジクが、出荷シーズンを迎えている。県内の生産量の7割を占める最大産地の新潟市西蒲区では、2009年にJA越後中央(同区)から出荷するイチジクを「越(こし)の雫(しずく)」とブランド化。今年から早朝に収穫したイチジクをその日に販売する「朝採れイチジク」の出荷に取り組むなど力を入れている。【小林多美子】
毎日午前5時半過ぎ、同JAいちじく部会長で、同区竹野町の堀内武司さん(76)のイチジク畑で早朝の収穫が始まる。赤く実った果実が、朝露に輝く。午前8時までに同区の出荷場に運び、午前中には県内のスーパーの店頭に並ぶ。これまでは昼までに出荷場に着き、夕方に出荷されていたため、店頭に出るのは翌日だった。
採ってすぐ販売できるため、完熟するまで実らせることができる。新鮮で、糖度の高さが自慢だ。熟したイチジクは先端が割れるが、秀品の基準は割れ目が1センチ以内であること。堀内さんは「十分に色がついて、割れる一歩手前で採るのが難しい」と話す。
同区で本格的にイチジクの栽培が始まったのは約30年前。同区はおけさ柿の産地でもあり、「地域にもう一つ特産品を」と水田の転作にイチジクの栽培を進めてきた。堀内さんによるとイチジクは単価が下がることが少なく、8月中旬〜11月中旬のシーズンを通じて価格が安定しているという。
品種は「桝井(ますい)ドーフィン」で、ブランド名「越の雫」は、水滴のような果実の形と、みずみずしさをイメージして名付けられた。12年には「新潟市食と花の銘産品」に選ばれている。
◇消費拡大へレシピも−−JA
JAにいがた全農によると、昨年の県内のイチジク出荷量は257トン。全国の最大産地である愛知県の1990トンには遠く及ばないものの、ここ10年で3倍近く伸びている。
イチジクは「不老長寿の果物」とも呼ばれ、食物繊維が多く、ミネラル分もバランスよく含まれているという。腸の活動を活発にしたり、消化を助けたりする作用があるといわれている。
近年、美容に良い果物と注目されていることもあり、同JAではさらなる消費拡大をと、食品メーカーと協力し電子レンジで簡単に作れるジャムなどのレシピを、店頭の販売促進でPRするなどの取り組みをしている。
デザートだけでなく、天ぷらや春巻きにしたり、肉料理に添えるソテーにしたりと、イチジクの調理法は多彩だ。レシピを載せたパンフレットも作成し、配布している。
同JAの担当者は「イチジクは水田の転作に向いている。女性の消費者を中心に受け入れられており、このまま伸びてほしい果物」と話す。
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