国益に資する建設的議論の礎
韓国が歴史認識問題で対日批判をエスカレートさせている。その最大の材料が「慰安婦問題」だ。「日本軍が戦時中に約20万人の若い女性を拉致して性奴隷にした」と主張し、そうした内容を刻んだ碑を全米に建てようとする動きまである。
この主張は事実ではない。日本人は証拠に基づいて毅然(きぜん)と反論すべきである。本書の中では13人の識者が史料や証言を丹念に検証し、慰安婦問題がどのように作り出されたか、実際のところ戦時中に何があったのかを明らかにしていく。
例えばジャーナリストの水間政憲氏のリポートでは、朝日新聞が「軍が関与した強制連行の証拠」として報じた史料が、当時の朝鮮の悪徳売春業者を取り締まるための発令であったことが丁寧に検証されている。
感情論をぶつけ合うだけでは悲劇が繰り返されるだけだ。橋下徹・大阪市長が「慰安婦は必要だった」と発言して国際問題に発展したのは記憶に新しい。この問題の複雑な経緯を踏まえれば、必要なのは証拠を積み重ねた上での冷静な議論のはずである。
ジャーナリストの櫻井よしこ氏からは本書について「慰安婦問題の嘘はどう世界に広められたか。それを知るための必読の一冊」との推薦をいただいた。
本書をまとめた目的は対立を煽(あお)ることではない。一人でも多くの日本人に歴史の真実を伝え、国益に資する建設的な議論の礎としてもらいたい。(小学館・1260円)
小学館SAPIO編集部 濱田顕司
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130921/bks13092109130000-n1.htm