子どもが食べてくれない野菜の第1位になったこともある「なす」。街で、なすが苦手という子どもたちに聞くと、理由は、その柔らかい食感や渋みでした。また、「あさイチ」アンケートでは、そのほかにも、調理するときに油を吸いすぎてカロリーがアップするのがイヤ、切るとすぐ茶色くなる、そして、調理するとせっかくの皮の紫色が黒くなってしまう、という悩みが寄せられました。そこで、これらの悩みを解決する達人たちが登場。なすに含まれる抗酸化物質をムダにしないスゴ技で、徹底的に使いこなす方法をお伝えしました。
■色の変化:皮の色を保つ方法
なすの皮の紫色はポリフェノール「ナスニン」で、病気の原因といわれる活性化酸素を抑える働きをする(抗酸化作用がある)といわれています。しかし、煮物や漬け物にすると、なすの皮は変色しがちで、色が変わってしまうと、ナスニンの抗酸化作用も期待できません。
農学博士の五十嵐喜治さんによると、ナスニンが変質するのは、調理によって細胞が壊れたあと、二つの理由によっておこるといいます。一つは、ナスニンは水溶性なので、水に浸されると溶け出すため、そして、もう一つは、ナスニンが酸化酵素と酸素に反応し、茶色く変わるためです。
そこで五十嵐先生がオススメする、なすの皮を美しく保つ方法は、なすを丸ごとラップして電子レンジにかけることです。こうすると、酸化するのに必要な酸素に触れる量を減らし、また酵素を破壊することができます。
さらに電子レンジにかけたあと、ラップしたまま粗熱をとることが大切です。電子レンジをかけても残っていた酵素が粗熱によって破壊されて、ナスニンの酸化を防ぐのです。
※実験では、小なす(3コ)を使い、電子レンジ(500ワット)2分にかけました。
※なすを丸ごと電子レジンにかけるときは、破裂しないよう、串で皮に穴をあけておくようにしてください。
<取材協力>
五十嵐喜治さん(山形大学農学部 名誉教授 農学博士)
■なすの鮮度を保つ秘けつ
茨城でなすを生産している小森勝一さんを訪ね、なすの新鮮さを保つためにしていることを教わりました。まずは、なすを朝早く収穫し、なすの内部の温度があがらないようにすること、なすの皮を傷つけず、内部のクロロゲン酸が酸化されないようにすること、そして、保存するときは、保冷箱に入れ、ぬれた新聞で覆うことです。
保冷箱に入れるのは、温度を上げないため。なすの保存のベスト温度は10~15度ぐらいです。そして、ぬれた新聞は、なすの周囲の湿度を一定に保つためです。
家庭で保存するときは、湿度をある程度保ちつつ、なすが呼吸できる袋に入れること、そして、今の時期なら、適温に最も近い冷蔵庫の野菜室で保存することがオススメです。
なすは冷凍保存もできます。山口智子さんのオススメは、電子レンジにかけたあと、1センチぐらいの幅に切って冷凍保存すること。食べたいとき、自然解凍してそのまま、もしくは、加熱調理しておいしく食べられます。
<取材協力>
小林信久さん(農産物直売所グリーンハウス大宮 所長)
「グリーンハウス大宮」
小森勝一さん・カツ子さん(なす農家)
山口智子さん(新潟大学 教育学部 生活環境学科目 准教授)
番組およびこのページは特定の製品・店舗を推奨するものではありません。
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NHK「あさイチ」2013年9月3日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/asaichi/life/asaichi-20130903-a-002.html