◇発症前発見に期待
アルツハイマー型認知症の原因の一つとされる「タウたんぱく質」が患者の脳に集積する様子を画像化することに成功したと、放射線医学総合研究所の研究チームが19日、米科学誌ニューロン電子版に発表する。タウの集積は従来、死後に脳を解剖しなければ分からなかったが、画像化で発症前の早期発見につながる可能性がある。
アルツハイマー型認知症は、異常たんぱく質のタウや「アミロイドベータ(Aβ)」が脳に集積し、神経細胞が死ぬことで発症に至る。がんなどの診断に使われる陽電子放射断層撮影(PET)を応用し、Aβを画像化する技術はあるが、タウではなかった。
放医研の樋口真人(まこと)チームリーダー(神経科学)らは、タウだけに結合する薬剤を開発。これを目印にし、PETの技術で集積の様子を画像化した。その結果、認知症が重症化するにつれて集積領域が広がっていく傾向があることも新たに確認できた。
アルツハイマー型認知症の根治療薬はまだない。タウやAβは、発症の十数年前から集積が始まるとされる。樋口さんは「画像化は早期診断や症状進行の客観的な指標になる」と話す。【西川拓】
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