●睡眠不足は太る! 糖尿病、高血圧、メタボを招く要因に
今年の夏は、記録的な猛暑で寝苦しい夜が続きましたね。エアコン嫌いの僕もついにギブアップしたほど。眠れなくて、体調をくずしてしまった人もいるのではないでしょうか。毎日をいきいきとごきげんに過ごすためには、よい睡眠を保つことがとても重要。そこで、前回に引き続き、睡眠とアンチエイジングに関するお話をしましょう。
まず、睡眠の量については、さまざまな調査研究から7~7.5時間くらい寝るのがいいといわれ、「睡眠不足だと太る」という研究が次々と発表されています。
米国シカゴ大学グループの研究によると、4時間の睡眠で2日間過ごした後と、10時間の睡眠で2日間過ごした後のホルモン量を12人の若者で比較したところ、4時間睡眠の場合、満腹感をもたらす「レプチン」というホルモンの値が下がり、食欲を刺激する「グレリン」というホルモンの値が上がることがわかりました。つまり、睡眠不足だと満腹感が得られず、食欲が増進するというわけです。
さらに、睡眠不足だと血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなり、若い人でも血糖値が上がり、糖尿病のリスクが高まります。高血圧のリスクが高まるという報告もあります。睡眠不足はメタボリックシンドロームを招く原因の一つといえます。
●睡眠は「量」「タイミング」「質」を考えて
睡眠の量が不足することだけでなく、睡眠のタイミングが狂う、すなわち体内時計(サーカディアンリズム)が狂うだけでも太ることがわかっています。
また、サーカディアンリズムと食事(あるいは代謝)は密接に関わっていて、サーカディアンリズムと食べるタイミングを組み合わせた研究で、同じ食事量を食べてもリズムがくずれていると太りやすいという報告もあります。
睡眠は、量もタイミングも重要。加えて、ぐっすりと深く眠れる質の高い睡眠をとることも大切です。睡眠中は1日のうちで最も多く成長ホルモンが分泌され、骨や筋肉をつくったり、傷ついた細胞や組織を修復したりと体のメンテナンスをしているのですが、眠りが浅くなると、“若返りホルモン”である成長ホルモンの分泌が少なくなって十分に修復作業が行えません。眠りが浅くなっていることに自分ではなかなか気づけないのも問題です。
また、睡眠時無呼吸症候群にも要注意。睡眠中に呼吸が止まるために深い眠りが得られないばかりでなく、活性酸素が増えるため、動脈硬化や高血圧、不整脈、心血管障害や脳血管障害のリスクが高まります。いびきがすごいとか、睡眠中に呼吸が止まっていることを指摘された人は、一度専門外来を受診されるとよいでしょう。最近はCPAP(シーパップ=睡眠時無呼吸症候群防止用の機器)などの治療器で有効なケアができます。
22時以降は「休息モード」でゆっくり過ごそう
では、睡眠の質を高めるためにはどうしたらいいか?
「夜の明るさ」が睡眠リズムを狂わせ、メタボやがんの一因になる可能性があることは前回お伝えしましたが、ちょっとした光でも睡眠の質が悪くなるということがわかっているので、寝るときは部屋を真っ暗にして眠りましょう。たとえば僕が寝るとき妻はまだ起きているので真っ暗にするのが難しいのだけど、僕はアイマスクをして寝ています。このように睡眠を助けるグッズを活用したりして、いろいろと工夫してみてください。部屋の温度や湿度、寝具などの環境を見直すことでよく眠れるようになることもあります。
寝る前にブルーライトなどの強い光を目に入れると眠れなくなるので、22時以降はパソコンやスマホをやめて、部屋の照明もオレンジ系の明かりにして、「いいこと3つ日記」を書きながらリラックスしてゆっくり過ごしましょう。あまり熱いお風呂に入らない、食べない、運動しないことも大切です。これらは自律神経のうち交感神経を刺激して、体が“活動モード”になってしまうからです。
また、午前0時から6時までは成長ホルモンがよく出て、深い睡眠を確保できるゴールデンタイムです。サーカディアンリズムにも叶っているので、この時間に睡眠を確保できるとベストです。
「寝る子は育つ」は大人にも当てはまります。年齢を重ねても元気で老け込まない人は、よく寝て成長ホルモンがたっぷり分泌されているようです。よく寝る女性はいつまでも若い! 質の高い睡眠を十分にとるための工夫を今日から続けていきましょう。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130906-00161002-woman-hlth