200度前後の高温熱風で食材を加熱し、「油を使わず、鶏のから揚げやエビフライなどができる」という調理家電が、続々発売されている。油の摂取量を減らし、揚げ物料理をより健康的に手軽に楽しめるとして人気だ。
■「脂肪分90%カット」
油を使わずに済むのは、高温の熱風を調理器内で対流循環させ、食材を包み込むように加熱する「コンベクション方式」を採用しているからだ。熱風はヒーターとファンで作りだし、食材にもともと含まれている脂分で揚げた状態にするというわけだ。
このため、トンカツ、コロッケ、アジフライなど、肉、魚料理に向いているとされる。料理にもよるが、多くのメーカーが、油に食材を浸して揚げる一般的な揚げ方に比べ、「最大で80~90%の脂肪分をカットできる」とアピールしている。
使い方は、主な機種ではほぼ同じ。底が網状になった専用バスケットに食材を入れて本体下部にセット。付属のレシピ本などを参考に温度とタイマーを合わせたら、あとは出来上がりを待つだけだ。
■世界で人気
人気の先駆けとなったのは、オランダの電気機器メーカー「フィリップス」の日本法人が、4月に国内発売した「ノンフライヤー」だ。デザイン性にも優れ、2010年秋に欧州で発売されて以来、100か国以上で累計150万台以上販売した。日本では、今年だけでも20万台の販売を見込んでいる。
国内の他の家庭用品メーカーでは、「わがんせ」が4月、「シービージャパン」は6月、「ツインズ」が7月に同様の製品を投入。パソコン周辺用品などを扱う「グリーンハウス」も近く、参入する。それぞれ、食材がこびりつきやすいバスケットの網を「外して洗える」(わがんせ、シービージャパン、ツインズ)、付属品に「ピザ用の皿やケーキ用の型も用意」(グリーンハウス)するなど、後発ならではの特徴を持たせている。
大手家電量販店「ビックカメラ」での販売価格は、いずれも2万円~3万円程度。有楽町店(東京都千代田区)の専門相談員中河智恵さんによると、「調理中に油がはねる心配もなく、お客様の関心は高い」という。ただ、天ぷらのように、水などで溶いた衣をつける料理は、「衣が垂れ落ちるため苦手」との声もある。
「手入れ」含めた使い勝手確認を
家電コーディネーターの戸井田園子さんに聞いた。
一連の新商品は、「油を使わない揚げ物調理」に機能を特化することで、家電の世界で新ジャンルを確立しました。操作も簡単で、独身男性の関心も高いようです。
ただ、コンベクション方式自体は、最近の家庭用オーブンレンジの多くに採用されています。また、過熱水蒸気で調理する「スチームオーブンレンジ」などでも、「油を使わない揚げ物」に対応できます。まずは、手持ちのレンジの機能を確かめ、キッチンの広さや、揚げ物をする頻度、量などを考慮したうえで、専用機の必要性を判断しましょう。
購入する際は、「手入れのしやすさ」を含めた使い勝手をよく確認してください。(石原毅人)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130904-00010000-yomidr-hlth