私たちのお金に接する時の態度は、恋愛中のものに驚くほど似ています。どちらも、とても合理的とはいえない行動に走りがちです。
心理学者のDaniel Crosby氏は「TEDx」での講演で、人を非合理的な行動に導く4つの心理的バイアス(偏り)について、具体例を挙げて語っています。
1. 私ならあの人を変えられる
私たちは、人の悪いところを「直せる」と思い込みがちです。同じように、お金の使い道を決める際にも、自分なら不利な状況を覆せると思い込む傾向があります(たとえば、株を買う際に、その銘柄に危ない兆候があっても無視してしまうケースなど)。
2. 今度こそ違う
1回目の結婚と2、3回目の結婚を比べると、後者のほうが離婚率はずっと高くなります。私たちは「今度こそ違う」と思い込みがちです。過去に失敗に至った原因を改めていない場合でも、その傾向は変わりません。
お金に関する場面でも、心理学者が「New Era Thinking」と呼ぶバイアスが働きます。金融の世界では再三再四バブルが起き、株価は実態よりも過大評価されがちです。その裏にはこうした心理が働いているのです。
3. 白馬に乗った王子さまが現れるはず
これは、(まずあり得ない)相手との出会いや儲け話が、今まで抱えていた恋愛や金銭の悩みをすべて解決してくれると思い込んでしまうバイアスです。
宝くじで大当たりを引き当てる確率は、テレビの下敷きになって死んでしまう確率の9分の1というなんとも低いものですが、この「白馬に乗った王子さま」バイアスのせいで、当たる可能性が非常に小さいにもかかわらず、ロトくじに大金をつぎ込んでしまうのです。
4. どうしてもあきらめられない
何かを手放すのはとてもつらいものです。「何かを失ったり誰かと別れたりすることを、私たちはひどく嫌います。こうした出来事に対するネガティブな感情は、同じような規模の『楽しい出来事』に対する幸福感の2倍に達します」と、Crosby氏は解説しています。
金銭面でもこのバイアスは健在で、大損しても賭けのテーブルを離れられないギャンブラーや、持っている株が値を下げていても手放せず、底値まで保有し続ける投資家などがこれに当てはまります。どちらも損失を確定させることが耐えられないという心理から、このような行動に出るのです。
恋人やお金との関係には、どうしても感情が絡んできます。金銭面で大きな決断を下す時には、その前に、この記事で挙げた4つのバイアスにとらわれていないか、よく考えてみてください。
お金に関するありがちな失敗や、気になる相手についやってしまう愚行についての記事も参考にどうぞ。
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/life/living/lifehacker_33205.html