連日の猛暑の影響で、キャベツなどの野菜が品薄になり、価格が高騰している。レタスやトマトは平均価格の約2倍に。この状況を逆手に取って、野菜の特売で客を呼び込もうというスーパーも現れた。気象庁は17日ごろから1週間は高温が続くとして関東甲信地方に「異常天候早期警戒情報」を発表しており、注意を呼びかけている。
「岩手のキャベツは1玉98円、青森のダイコンも1本98円だよ!」
小売り大手「ダイエー」は14、15の両日、関東地区の120店で「野菜大放出セール」と銘打った特売を実施。碑文谷店(東京都目黒区)で14日朝、店員が威勢のいいかけ声で野菜を並べると、買い物客らが次々と手を伸ばしていた。
世田谷区の主婦、金子久美子さん(62)は「毎日食べる野菜の値上がりは家計にとって重大。近所の農家から直接安く買うこともあるくらい」と話していた。
セールでは計20種の野菜を1~5割引きで販売。野菜全体の仕入れ値は平均約1・2倍に高騰しているが、「単価を下げても量を売れば収益になる」(担当者)と判断。通常の1・4倍の量をさばくことで増収に結びつけるという。
東京都中央卸売市場では6月末ごろから野菜の入荷量が落ち込み、価格が高騰。過去3年の平均価格が1キロ当たり120円のレタスは9日の卸値で217円となり、平均価格230円のトマトは412円となった。全国でも同様の傾向がある。首都圏では葉物野菜の店頭価格が前年比1~3割上がったとみられる。
葉物野菜は気温の変化に敏感だ。関東産では高気圧に覆われる日が多かった6月前半に出荷が集中し、東北地方では梅雨の影響で低温が続き生育が遅れたため、現在は品薄状態だ。
そこに猛暑が追い打ちをかけた。ホウレンソウなどは高温が続くと葉が溶けたような状態になったり、変色したりする障害が発生するという。出荷量が増えれば高騰は収まる見通しで、ダイエーの担当者は「7月下旬ごろには落ち着くのでは」と予測する。
ただ、農家はこの夏の高温に戦々恐々だ。埼玉県所沢市のホウレンソウ農家、野村翔平さん(30)の畑では、今月の猛暑で栽培中のコマツナの約2割が白く変色してしまったという。野村さんは「収穫の2、3割減は覚悟している。いくら出費がかかっても、日差しや渇水対策を万全にしたい」と話した。
影響は食品産業にも及びそうだ。農業ジャーナリストの青山浩子さん(49)は「青果物の6割は食品加工業と外食産業で消費されており、価格高騰が長引けば業界全体を圧迫しかねない」と指摘した。
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