30歳を越えてきた男性にとって、自分が「加齢臭」を発しているのではないかという不安は、誰もが抱える悩み。だが、最近では30代どころか、20代後半から加齢臭が漂い始める男性が増えているという。
毎年数千人の「体臭」を診療する“体臭のスペシャリスト”、五味クリニック院長・五味常明先生が語る。
「そもそも加齢臭というのは、老化現象のひとつです。年を取れば耳が聞こえにくくなったり目が見えにくくなったりするのと一緒で、それ自体はなんの問題もありません。女性にも出てきますからね」
しかし、問題は“若年性加齢臭”という、若者のうちから加齢臭を発する人が増えていること。もし自分がその立場になれば、職場の女性たちから著しく評判を落としかねない。
「まず、加齢臭の発生メカニズムを説明しますね。年を取ると、体内のコレステロールや中性脂肪が酸化され、過酸化脂質というものができる。この過酸化脂質がどんどん皮脂を酸化していくことで、いろいろなニオイ物質がつくられるんです。そこに、ノネナールというニオイ成分も含まれています」(五味先生)
そのノネナールが“オヤジ臭”の原因なのだが、若くして加齢臭が漂っているということは、体内で老化が進んでいる証拠でもある。
「動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞といった中高年の生活習慣病と、加齢臭は発生メカニズムにおいては同じなんです。両方とも、体内で過酸化脂質が増え、悪玉コレステロールが増えていく。それが血管の中で起きれば動脈硬化などの生活習慣病になるし、皮脂腺の中で起きると加齢臭になる。ということは、20代後半や30代で体臭のニオイが変わってきたりしたら、それは体内でメタボが急速に進行していると考えられます」(五味先生)
つまり、若年性の加齢臭は病気のシグナルなのだ。五味先生が言う。
「だから加齢臭対策は、生活習慣病対策と同様、生活改善が第一です。肉類、マヨネーズ、バターなどの脂質を控え、野菜や果物を食べる。活性酸素を減らすビタミンCやEなどを十分に取ることが大事です」
ギトギトの背脂たっぷりラーメンや肉ばかり食べていては、体臭からオヤジの仲間入りするどころか、寿命すら縮めかねない。この夏は食生活を改善して、病気とニオイの“素”を抑えよう。
(取材・文/頓所直人)
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