「子どもが返事をしない」「言うことを聞かない」。親子間のコミュニケーションにストレスを感じる保護者に、「まずは自身のストレスを減らしてみませんか?」というのは、コーチングのプロ・石川尚子氏。ストレスを軽減する「ものの見方、考え方」について、話を伺った。
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子どもとの会話にストレスを感じてしまうという声をよく耳にします。ものの言い方や言葉のかけ方の前に、自分自身がストレスを感じなくなる「ものの見方、考え方」について考えてみましょう。
「最近、声をかけても返事もしないので、親のことをうっとうしいと思っているみたいです」。ここでの、「返事をしないこと」と「親をうっとうしいと思っていること」は決してイコールではありません。また、「メールを送ったのに返事が来ない。きっと、わたしのことが嫌いなんだ」と決めつけて悩む人もいます。でも、「メールの返事が来ない」ことは事実ですが、「わたしのことが嫌い」は、自分で勝手に作ったストーリー。まずはそのことに気づいて、「事実」と「ストーリー」を切り離していただきたいのです。
同様に、「子どもが言うことを聞かない」ことを、「やる気がない」「言うことを聞かせられないわたしがダメなんだ」と思う人がいます。事実は「こう伝えたけど、言うことを聞かなかった」だけ。「じゃあ、どう伝えたらよいのか」を考えればよいのですが、そこにマイナスの感情が結びつくと、たちまちストレスです。
何度質問を投げかけても、相手から答えが返ってこない時、わたしはこう考えることにしています。「質問で相手から答えを引き出せないわたしが悪いわけではない。答えられない相手が悪いわけでもない。この質問が今、相手にとってヒットしていないだけ。どんな質問だったら、答えられるかな?」こんなふうに考えると、ストレスなくコーチングができるようになりました。自分が勝手に作り上げているストーリーで苦しんでいることはありませんか?
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