ほんのわずかな時間で、自分好みのモバイルウェブサイトを手軽に作成――。そんなITサービスがにわかに注目を浴びている。その名も「strikingly」(ストライキングリー)。米国シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクールと言われる「Yコンビネーター(YC)」に中国人で初めて入学した、若干23歳のデイビッド・チェンCEOが率いるストライキングリー社が運営する。
ストライキングリーは2012年9月にサービスを開始し、13年5月には日本語対応も始めた。日本上陸に先駆けて、インフィニティ・ベンチャー・パートナーズから4月に出資を受けている。フェイスブックページをはじめ、ウェブ上の自己表現の手段が多様化している中、ストライキングリーの特徴や狙いは何か。チェン氏を直撃した。
■ 15分で自分専用のモバイルサイトを作成
――ストライキングリーの特徴を教えて下さい。
モバイルにカスタマイズしたウェブサイトを、たとえば15分程度で非常に簡単に作成できるサービスです。それも一つのウェブサイトを作成すれば、スマートフォン、タブレット、パソコン、すべてのプラットフォームに対応できるのが、ほかにない特徴です。
12年9月のサービス開始以来、米国を中心に5万人以上のユーザーに利用され、月間40%でユーザー数が拡大している。5月23日からは、日本語対応も始めました。現在は英語と日本語の2カ国語で対応しています。
――どんなユーザーが使っているのでしょうか。
今のところ、ヨガ教室の講師やキャラクターデザイナー、政治家など、自分の仕事をPRするためにサイトを作るユーザーが多いようです。中には男性ユーザーがバレンタインデーに合わせ、彼女向けにラブレターとして作ったケースもありますが、地図やショッピングカートのアプリケーション(応用ソフト)を入れられたり、外部のサービスとも連携できたりしますので、中小企業や起業家に向いています。
――マネタイズ(収益化)の手法は?
無料・有料のプランがあり、そのうち有料は2パターンのプランがあります。安い方の有料プラン(月額12ドル、年契約で月額8ドル)では、ページに独自ドメイン(=インターネット上の住所を分かりやすく見せる文字列)が使えます。無料プランで月間5GB(ギガバイト)のデータ使用量が、この有料プランでは月間50GBまで対応可能となります。
有料プランの高い方(月額20ドル、年契約で月額16ドル)は、5サイトまで作成できるうえ、帯域幅は無限。地図などのアプリを埋め込んだり、電話をかける道順を調べるなどのワンタッチ操作が使えるようになったりします。
――フェイスブックでも自分のページを作ることはできます。
ユーザーが求める、根本的な欲求の部分が違います。そもそもフェイスブックページは、ユーザーとコミュニケーションする場としては適していますが、自分のウェブサイトではなく、ショーケース的な使われ方をしています。
例えばレストランを想像してください。フェイスブックページは今日どのようなメニューがお勧めかというフローのコンテンツを流せますが、実際に置かれているすべてのメニューは見せられません。ストライキングリーでは、そういった静的なコンテンツに加え、背景のデザインや色の選定などを自分好みにカスタマイズができます。それによって自分のアイデンティティーを表現できるのです。
■ 「2.5個のことをしろ」、Yコンビネーターの教え
――チェンさんは、シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクールと言われる「Yコンビネーター」に中国人で初めて入学したそうですね。何を学ばれたのでしょうか?
実はYコンビネーターの入学試験には一度落ちていて、再チャレンジして入学している。入ってからは、「2.5個のことをしろ」と言われた。「ひたすらコーディング(=ソースコードの作成)しろ」「ひたすらユーザーと話せ」という2個に加えて、残りの0.5個はエクササイズなど好きなことをしろ、ということです。
私はひたすらユーザーと話すことを重視して、それがストライキングリーのサービスにも生きています。これまで1万人以上のユーザーと実際にやり取りしているし、ユーザーから問い合わせがあれば、オートリプライで私からのメールが飛びます。その後のやり取りは、私が直接対応します。5月末には東京でオフサイトミーティングを開き、12人のユーザーが集まってくれました。
――日本でのマーケティングをどのように考えていますか。
まだノーアイデアです。ただ、日本は日本語対応する前から関心を持ってくれているユーザーがとても多かった。自分でカスタマイズして表現するということが好きなのかもしれません。そのため、日本でのサービス拡大には、非常に期待しています。
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