福岡市薬剤師会が、飲み忘れや飲み残した「残薬」を薬局に持参してもらい、医療費の負担を減らす「節薬バッグ運動」を展開している。
医療費の適正化や薬の誤飲防止にもつながるとして全国から注目されている。
厚生労働省によると、県民1人当たりの2010年度の医療費は56万1000円で全国9位。後期高齢者(75歳以上)に限ってみると113万2000円となり、全国1位だった。
市薬剤師会は、慢性的な疾患があったり、症状が緩和したりした場合に、飲み忘れなどで残薬が多くなる点に着目。九州大と共同で昨年6~8月、市内の薬局31軒の協力を得て、患者約2000人を対象に節薬バッグ運動を試行した。
運動では、患者が、家庭に残っている薬を節薬バッグ(縦43センチ、横28センチ)に入れて最寄りの薬局へ持参。薬剤師は、医師の処方箋をもとに、残薬の種類、使用期限を確認し、使える残薬分を差し引いて薬を処方する。
試行期間に持ち込まれた残薬は計83万9655円分で、このうち、消費期限切れや変質分などを除く計70万2694円分を患者に戻し、一定の医療費節減につながった。今回の残薬の有効活用率83・7%を、全国規模の医療費に当てはめると、推定で約3200億円の節減になるという。
これを受け、市薬剤師会は2月以降、会員薬局に要請して、節薬バッグ運動に取り組んでいる。
残薬調整は、医療費節減以外の効果も期待できる。定期的な薬剤師のチェックを受けることで、期限切れなどによる副作用や悪い飲み合わせを防げる。医師も薬剤師を通して患者の服用実態を把握できるメリットがある。
市薬剤師会の木原太郎副会長は「かかりつけ薬局を決めておけば、薬との相性や適正な処方量を普段から相談できる。節薬バッグ運動を全国に広げていきたい」と話している。
節薬バッグは、市内の会員薬局で無料で配っている。
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