ふとん専用掃除機「レイコップ」躍進 日本の成熟市場に韓国も参戦
韓国人医師が開発したダニ退治用のふとん専用掃除機「レイコップ」が好調な売れ行きをみせている。2012年2月に家電大国の日本に本格参入し、テレビ通販などの販路でじわじわと浸透。ダニが繁殖しやすい梅雨に入り、家電量販店などへの問い合わせも増えている。機能性掃除機では、新技術を駆使した英ダイソンのサイクロン掃除機や米アイロボットのロボット掃除機「ルンバ」など、日本でシェアを伸ばす外国製品が少なくない。レイコップにも需要を奪われる事態になれば、日本の家電各社は対応を迫られそうだ。
「日本の全ての世帯にレイコップを置いてもらうのが、われわれの最終目標だ」。開発・販売元の韓国・ブカンセムズ最高経営責任者(CEO)で、日本法人「レイコップ・ジャパン」(東京都港区)の社長も務める医師の李誠晋(リソンジン)氏は、日本での拡販に自信をみせる。
レイコップは3つのステップでダニを退治する技術が特長。吸引部の専用パッドが1分間に3000~3600回振動することで寝具の奥深くに潜むダニや死骸、フンを布地の表面までかき出す。そして波長253.7ナノメートルの紫外線ランプで除菌した上で、ダニや死骸などを強力な真空吸入モーターで吸引する。これらの技術は特許も取得済みだ。
同社によると、2層フィルターを使うことで0.3マイクロメートルの粒子を99.7%集塵(しゅうじん)するという。「ジニー」「スマート」「マグナス」の3種類で希望小売価格は1万7800~2万9800円。
07年3月に初代機を韓国で発売したときは「操作が難しく、消費者に受け入れられなかった」。そこで「消費者の満足度を高めること」を主眼に改良を重ね、現在の形になった。
08年から世界市場の開拓にも乗り出し、欧州や米国で販売網を築いた。13年5月現在の同社集計で、世界での累計販売台数は150万台に達しているという。特許戦略にも力を入れているほか、世界的に権威のある英国アレルギー協会や米国FDA(食品医薬品局)からも効果に関する認定を受けた。
日本では当初、代理店を通じて販売を展開していたが、12年2月に支店を構え、本格的な販売に乗り出した。李社長はジャパネットたかたの高田明社長と親しいこともあり、日本市場の開拓にあたってはテレビ通販などを活用。テレビの情報番組などでも取り上げられ、家電量販店などでも売り上げを伸ばした。日本での販売台数は右肩上がりで増え続け、累計21万台に達したという。
日本電機工業会(JEMA)によると、電気掃除機の国内出荷額は1~4月の累計で前年同期比13.1%増の約347億円。中国の大気汚染問題の余波で需要が喚起された空気清浄機を除けば、白物家電では異例の伸びをみせている。
なかでも販売が好調なのはダイソンやアイロボットなどの外国勢だ。サイクロンや自走式のロボットといった新機能がユーザーの支持を獲得。日本の電機メーカーも追随して同様の製品を投入し、結果として市場の裾野が広がる図式になっている。
レイコップを扱う家電量販店では「寝具専門という全く新しい分野の掃除機。ふとん乾燥機の代わりに購入する人もいるなど、新たな需要を掘り起こしている」(売り場担当者)。レイコップの躍進が今後も続けば、成熟した日本の掃除機市場で「第3の黒船」となる可能性もありそうだ。
http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20130613501.html