総務省は、医療機器やペースメーカーへの影響から、病院などで使用が制限されている携帯電話の規制を緩和する方針を固めた。 医療機関では、一般の人に携帯電話を使わないよう要請し、医師や看護師も電磁波が弱く医療機器への影響が小さいPHS端末を使っているケースが多い。 ただ、現在主流の第3世代(3G)携帯電話の電磁波はPHSとほぼ同じレベルのため、基準を見直すことにした。 PHSが独占してきた医療分野で、携帯電話の利用が進む見通しだ。
総務省によると、携帯電話やPHSがペースメーカーなどの機器に影響を与える距離は、PHSの2・5センチに対し、第2世代(2G)携帯電話が14~15センチ、3Gは1~3センチ(8センチが1機種)。 ところが、PHSは機器から3センチ、携帯電話は2G、3Gともに22センチ離して使う決まりになっている。
このため、来年7月の総務省の周波数再編に伴ってNTTドコモが同3月、KDDIも同7月までに2Gサービスを終了するのに合わせ、早ければ来夏にも、携帯電話に対する規制を緩和する。
医療機器付近での使用に関するガイドラインは総務省所管の電波産業会が策定しているが、総務省は「すぐにPHSと同じ基準にはできないが、なるべく距離を近くする」(総務省総合通信基盤局)方針だ。 一般の人が使える範囲は個々の医療機関が判断するものの、PHSと携帯電話の医療機器との「距離差」が縮まることになる。
総務省は今年4月にも検討に着手し、「ワイマックス」や「ワイファイ」などの高速無線データ通信機器の医療機器への影響についても調査する。
医療機関では、約9万台のPHSが使われている。 携帯電話事業者は法人向けに料金をPHS並みに設定して売り込みを図っており、PHSよりもつながりやすい携帯電話に置き換わる可能性がある。
携帯電話に関しては、政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)が、航空機内の使用制限の緩和なども求めている。
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