米国の小売り大手や外食チェーンが、相次いで「健康」に配慮した食品の販売強化を打ち出している。
「肥満大国」とされる米国では、生活習慣病に伴う医療費の負担が家計や財政圧迫の一因になっているからで、米政府も生活習慣病の予防に向けた食生活の改善に力を入れ始めている。
ファストフード最大手の米マクドナルドは1月から、欧米では朝食の定番メニューの一つ「オートミール」を全米約1万4000店のメニューに加えた。つぶしたオーツ麦(カラスムギ)を煮て、かゆ状にしたオートミールは食物繊維が豊富だ。1・99ドル(約160円、税抜き)の小型カップ(砂糖なし)でハンバーガー1個分とほぼ同じ260キロ・カロリーだが、ハンバーガーより高い満腹感を得られるという。
オートミールは、コーヒーチェーンのスターバックスが2008年に米国内で売り出しヒットした。マクドナルドは、健康志向が高くハンバーガーを敬遠してきた層の取り込みを目指す。
ミシェル・オバマ米大統領夫人が子供の肥満率の低下に積極的なこともあり、肥満対策がクローズアップされている。「健康」への取り組みは、外食産業以外にも広がっている。
こうした取り組みの背景には、米政府の危機感の高まりがある。
米国では子供の3分の1以上、成人では3分の2以上が「体重過多」、もしくは「肥満」とされる。肥満が原因の経済的損失は、生産性の低下などを含めると03年の約750億ドルから、18年には3430億ドルと5倍近くに増えるとの専門家の試算もある。
米農務省のビルサック長官は先月、「現状は無視できない危機的な状況だ」と述べ、生活習慣病による医療費などの負担増に強い懸念を示した。
同省が5年おきに公表している「ダイエットの手引」も、今年は大幅に変更した。例えば、「成人の塩分摂取量は1日2300ミリ・グラム以下」としてきた従来の記載に、「51歳以上の人やアフリカ系米国人は1500ミリ・グラム以下」などと細分化した内容を加えた。
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