「安心・安全」を標榜する農作物直売所が揺れている。年商10億円の人気店で残留農薬の問題が浮上。直売所が抱える構造問題を浮き彫りにした。
「お客様を裏切ったということになる。6年半の信頼はゼロになった。これまでうまくいきすぎていたからね。やり直しです」
農作物直売所「かしわで」を運営するアグリプラス(千葉県柏市)の染谷茂代表は肩を落とす。
商品に生産者名を表示するなど「安心・安全」の実現に力を注いできたが…
かしわでは、年10億円を売り上げ、年間50万人が利用する直売所。近隣のスーパーマーケットは「青果の販売に大きな影響を受けた」と口を揃え、直売所の成功事例として多くの視察を受け入れてきた。「安心・安全」を標榜して消費者の支持を集めてきたこの有名直売店に「残留農薬」の問題が浮上したのは2010年末のことだ。
2010年11月、柏市保健所が食品衛生法に基づきかしわでに並ぶシュンギクの安全性を検査したところ、基準値を超える殺虫剤「メチダチオン」が検出された。12月、同店は行政処分に従ってシュンギクを回収すると同時に、シュンギク以外の農作物についても自主的に検査。その結果、別の生産者の作物からも別種の農薬が検出された。
「管理体制に不備があった」と染谷代表。同社は安全性が確保されるまで13日間、営業を自粛した。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110128/218195/