◇安全PR奏功、大河ドラマ後押し
東京電力福島第1原発事故の風評被害で激減した福島県会津若松市への福島県外の修学旅行客数が今年度、ハイペースで盛り返している。会津若松市は、新潟市の小学校にとって佐渡市と並ぶ人気の修学旅行先。事故の影響で足が遠のいていたが、NHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台となった効果や地元観光協会が以前に訪れた学校に足を運んで安全をPRするなど地道な活動により回復しつつある。【真野敏幸】
会津若松市は白虎隊などの歴史を学べるスポットが集中し、修学旅行で人気を集めていた。2010年度は小学校を中心に福島県外から841校が訪問。ところが、原発事故の風評被害で11年度は100校にまで落ち込んだ。新潟県からは10年度に141校が訪れ、宮城県に次ぎ訪問数2位だったが、11年度は7校にまで激減した。中でも新潟市の落ち込みが特に激しく、41校から4校にまで減少した。
危機感を募らせた会津若松観光物産協会は、市に来たことがある学校に「営業活動」を展開。原発から約100キロ離れていることや放射線量が高くないことなどを説明して回った。さらに災害時の避難場所を掲載した観光マップを配布し、下見に来た教員向けに線量計を貸し出すなど努力を重ねた。新潟市とは昨年7月に「観光交流宣言」を結ぶなど、行政間での連携も強化した。
そこに「八重の桜」が後押しする形で会津ブームが到来。主役の綾瀬はるかさんらが観光地を訪問するなどPRしたこともあり、福島県外の学校の訪問は12年度は210校、今年度は見込みで約400校と倍増ペースで回復している。新潟県も今年度は新潟市の14校を含めて40校が訪問予定と回復の兆しが見えている。
一方で、見えなかった課題にも直面した。同協会によると、首都圏などでは、保護者が一人でも反対すれば別の行き先を選ぶケースがあった。また、福島からの避難者の多い新潟市では、避難者の保護者が「福島から逃げてきたのに、なぜまた福島に行かせるのか」と反対する声もあったという。
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20130604ddlk15040053000c.html