労使間のトラブルを扱う全国の労働局の「個別労働紛争解決制度」に寄せられた職場の「いじめ・嫌がらせ(パワハラ)」相談が、平成24年度は初めて5万件を超え、過去最多だったことが31日、厚生労働省の集計で分かった。全体の相談は25万4719件で前年度より0・6%減った。
集計によると、パワハラにまつわる相談は、前年度比12・5%増の5万1670件。前年までもっとも多かった「解雇」にまつわる相談は、5万1515件(前年度比10・9%減)に減った。厚労省は「パワハラの概念が広まり、職場の嫌がらせは労働問題なんだという認識が広がってきたため」と分析している。パワハラ事例として、「上司から仕事のことでばか呼ばわりされ、人前で大声で叱責された」「仕事中、腰にけがをしたが、その後も他のスタッフに比べて過酷で、けがに悪影響を与える作業を割り当てられた」「出社して店長にあいさつしたところ、直後に頭をたたかれた」-など。嫌がらせで、精神疾患になった例も多く寄せられた。
相談者の多くは従業員だが、中には「退職した労働者から、在職中に机をたたくなどのパワハラを受けた慰謝料として、100万円を求められている」という使用者側からの相談もあった。労働局長の委任を受けた紛争調整委員会が間に入り、60万円の解決金を支払うことで合意したという。
厚労省はパワハラについて、脅迫などの「精神的な攻撃」▽無視などの「人間関係からの切り離し」▽仕事の強制などの「過大な要求」▽暴行などの「身体的な攻撃」▽プライベートに立ち入るなどの「個の侵害」▽仕事を与えないなどの「過小な要求」-の6類型に分類。予防や解決策を啓発している。
産経新聞
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/bizskills/healthcare/snk20130601096.html