[ カテゴリー:環境 ]

(核なき世界へ)人は忘れる だから撮る

■被爆国から2013 映画監督・岩井俊二さん 【聞き手・木村司】広島や長崎に原爆が落とされる前にも、日本中に訓練のための模擬爆弾が落とされ、たくさんの人が亡くなりました。二つの被爆地をはじめ、各地で被害にあった人たちが体験を語り継いできたので、私たちの耳にも入る。広島、長崎がいまだに一つの大きなシンボルであるのは、語り伝えることをずっとやり遂げてきた人たちの力だと思います。

■軽んじた警告 私の性質なのか、映画監督という仕事のせいなのか、自分が死ぬことについて1日に1回くらい考えながら生きています。そんな私にとって8月6日は、1年で一番、死者について考える日になりました。井伏鱒二の「黒い雨」や、(被爆体験を描いた)原民喜の「夏の花」も読みました。ただ、これらは文学的な体験でしかなく、戦後に生まれた者として、テレビで伝えられる毎夏のセレモニーを神妙な面持ちで見るしかないのです。

生き残り、何とか伝えようとしている人たちの映像を見ると、胸が熱くなります。でも、それを引き受けるほどの準備ができていない。ただ聞いて、受け止めるのが精いっぱいです。

東日本大震災の後、「のど元過ぎて放置してしまった。新しい時代に本当に申し訳ない」とツイートしました。1986年のチェルノブイリ事故のころ、日本中が原発におののいた時代がありました。警告を発する人がいるのを知っていたのに、どこかで軽んじ、忘れていたんです。

震災の教訓は、「○○を忘れない」ではなく「忘れるものだ」と考え直すべきだということです。原発に危機感を持つ人はたくさんいる。「核兵器をいま、どこかの国が使うか」と聞けば、「考えにくい」と言う人が多いと思う。でも、「これだけたくさんあるから、1回や2回は使ってしまう」と考える方が当たり前だと今は思う。そんな心の準備をしてもいいのではないでしょうか。

■原点に返る時 映画のゴジラは被曝(ひばく)して、口を開ければ放射能が飛び出る怪獣。歩いた所は放射線管理区域になってしまうような生き物が、いつのまにか自分たちのヒーローに変わってしまった。

僕らの世代のクリエーターは「核戦争後の未来」を場面設定に利用してきましたが、前提となる本来のメッセージを忘れていた。でも、いまは原点に返り、いずれはこんな危険なことがあるかもしれない、と世の中にプレゼンをしていかなければと思っています。

◇ いわい・しゅんじ 1963年、仙台市生まれ。映画監督。作品に「Love Letter」「friends after 3・11」「ヴァンパイア」など。NHKの東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」を作詞した。

◇ この夏、米国が広島・長崎に原爆を投下してから、68年を迎えます。2年前の福島での原発事故は、改めて「核被害」の恐ろしさを私たちに突きつけました。悲惨で深刻な体験をいかに伝え、未来に向かってどう行動すべきか。各界で活躍する人たちに聞きました。

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/life/education/OSK201306010155.html

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