「高齢者は熱中症になりやすい。水分補給には特に気をつけてほしい」
京都女子大教授の中井誠一さん(運動衛生学)は、そのように強調する。
熱中症になりやすいのにはいくつか理由がある。一つは暑さに対する感度が低下している点だ。若い人は暑くなると、のどの渇きを自然に感じて水分を積極的にとる。しかし、高齢になると感度が鈍くなり、水分を自ら補給しようとしなくなりがちだ。
もう一つは体内の水分量が減っていること。水分は体重の60%を占めるが、高齢になると55%に低下する。さらに、体温の調節機能が衰え、体にこもった熱を外に逃しにくくなる。
総務省消防庁によると、昨夏(7~9月)に熱中症で救急搬送された人は約3万9000人で、そのうち高齢者は約1万7000人と4割以上を占めていた。
中井さんは1日2・2~2・5リットルの水分をとることを勧める。尿や汗などでそれだけ体外に出るためだ。
例えば2・5リットル必要だとすると次のようにしたい。 まず、飲料として飲む分が1・2リットル。起床後に飲む水、食事の時のお茶、おやつの時のコーヒーなどだ。3度の食事でとるご飯やおかずなどの食べ物にも水分が含まれていて、ここから1リットル。残りの0・3リットルは、体内の栄養素がエネルギーに変わる時に出る「代謝水」が、この分になる。
中井さんは「これは最低限、必要な量。猛暑でたくさん汗をかいたら、スポーツドリンクなどをさらに飲んでほしい」と話している。(加納昭彦)
読売新聞
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