[ カテゴリー:食の安全 ]

ママが発案、離乳食用弁当箱 抗菌・保冷機能も

子育て中のママたちの情報サイトに集まったアイデアが、「離乳食に対応できる弁当箱」というユニーク商品につながった。発案したのは、サイトを運営する川崎市多摩区の女性だ。製造は同市中原区の成形加工会社。離乳食にも合わせた形に工夫され、素材は竹を配合した樹脂で抗菌性があり、一般ごみとして焼却できる。
 同市多摩区登戸の2歳児の母親、ロー紀子さん(37)が、育児応援サイト「MAMA―PLUG(ママ・プラグ)」を立ち上げたのは2009年9月。きっかけは、友人の女性の一言だった。
 生後5カ月で長女を保育園に預けたとき、「まだ小さいのにかわいそう」と言われた。「3歳までは自宅で育児をすべきだとか、子育てには様々な考え方があると気づいた」とローさん。
 米国人の夫を持ち、香港で4年ほど邦字紙の記者をしていたローさんにとって、子どもを預けて働くのは当たり前のことだった。サイトに寄せられる様々な書き込みを見て、働くことだけがすべてではないと思いながら、ママたちのアイデアを商品に結びつけられないかと考えた。
 「離乳食を入れる弁当箱ってないよね」。それで、自分たちで弁当箱をつくろうとなった。アイデアは編集者や通訳、イラストレーター、プランナーなど十数人から寄せられた。
 におわない、3歳児が手に持てる、生野菜が入るなどのアイデアをもとに、作られた弁当箱のイラストは数十枚。さて、商品になるのか。協力したのは、設計図を描くプロダクトデザイナーの平川貴啓さん(35)だった。「金型ができないものばかりでした」と笑う。
 09年12月にスタートした「弁当箱プロジェクト」は、ようやく形になった。小箱は3歳児、中箱は5歳児のご飯の目安だ。ふたには保冷剤を入れるスペースをつくり、夏でも戸外に持ち出せる。一方の角を円形にすることで、どろどろの離乳食を混ぜたり、すくったりしやすくした。
 「におわない」の答えは、弁当箱を製造する川崎市中原区のユニオン産業にあった。同社が8年前に開発した竹の粉を配合した樹脂は抗菌性に優れ、においにも強い。
 同社の森川真彦社長(63)は「生産個数も納期も決まっていない製品をつくるのは初めて」と言いながら、「女性たちの一生懸命な姿に負けました」と引き受けた。
 弁当箱は「Bam Boo Boo」と名づけられ、現在、金型がつくられている。そのコストが決まらないため、値段が付かないが、1個2500円程度になりそうという。販売は育児応援サイト「ママ・プラグ」(www.mama-plug.com)で、製品の完成と同時に始める。
 ローさんは「育児中の女性だけでなく、さまざまな立場にいる女性からのアイデアをどんどん商品化したい」と意気込んでいる。
http://www.asahi.com/food/news/TKY201101150175.html

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