◇「活気づけば」
07年7月の中越沖地震で大きな被害を受けた柏崎市東本町2の「えんま通り商店街」で、道路拡幅事業に伴う建て替えや改築が進み、通りが装いを新たにしつつある。今月上旬には画材店が先陣を切って、改築を完了しリニューアルオープンした。こうした新しい建物は、地震後に住民と商店主らで作ったガイドラインに沿うことが求められ、魅力的な街並みでの再生を目指している。【岡田英】
地震前、同商店街に41軒あった店舗は現在36軒。道路の拡幅事業は96年に都市計画決定されていたが、棚上げになっていた。しかし地震後、商店主たちは、商店街の再開発を進め迅速な復興をとげようと、県に拡幅事業化を進めるよう要望。商店街を貫く「えんま通り」(幅約13メートル)の両側を3メートルずつ広げる事業が10年度に始まり、補償交渉のまとまった街路南側を中心に、店舗の建て替えや改築の計画が加速した。
魅力的な街並みを作るため、商店主と住民でつくる「えんま通り復興協議会」は09年6月、建て替えの指針「まちづくりガイドライン」を策定。建物は極力、3階建てまでに抑え、切り妻屋根にすることなど18項目を定めた。改築・新築する際は、商店主や建築士らで構成する「街なみ検討委員会」で設計案が指針に沿っているか審議し、意見交換するようにした。
商店街のシンボル「閻魔(えんま)堂」の前にある2階建ての画材店「中部写真工業」は昨年10月から部分改築に着手し、今月上旬に完成。従来の売り場を約80平方メートルに縮小し、約50平方メートルをテナントに変更した。屋根を切り妻にし、外壁を自然の風合いの建材にするなどガイドラインに沿うよう配慮した。店主の寺沢式一さん(62)は「新しい店で気持ちも新たになった。商店街全体が建て替えや改築で、活気づいていけば」と期待を寄せる。このほか、カラオケ店の跡地では介護施設が新築中で来月上旬に完成予定。またスーパー跡地など3軒が建て替えや公園整備に向け、解体工事中だ。
同商店街の理事長で、自身の衣料品店も来月から解体予定の田川裕之理事長は「地震で被災してからまちをどうしていくか、みんなで考えるようになった。商店街が新しく変わっていき、気持ちの良い、魅力的な通りにしたい」と話している。
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