[ カテゴリー:生活 ]

無理なく食費を半減させる方法

PRESIDENT 2012年1月2日号 掲載

■食費は2万円、光熱費は4500円

わが家は夫婦2人と幼児2人の4人家族。ある月の光熱費は、電気代約650円、ガス代約3000円、水道代約850円。そして食費は、会社勤めをしている夫の昼食費を除けば約2万円でした。

ただ、私は節約を目的にしてきたわけではありません。通勤に不便を感じない程度の場所で日本家屋に住みたい、週末に家族で家庭菜園をしたいなどと趣味を実現していく中で、「昔の生活はどんなものだったんだろう」と興味が湧き、それを追いかけてきたのです。

お手本は、昔から「もったいない」と言い続けてきた90歳の祖母と、近所に住むお年寄り。ものがない時代を経験している人たちです。震災後にスーパーからものが消えたときも、お年寄りたちは「あるもので何とかできる」と言い、慌てていませんでした。

これまでは気にせず捨てていた種や皮も、「栄養があるんだよ」「粉末にすれば薬味に使えるよ」など、お年寄りに教えてもらったことは数え切れないほどあります。たとえばトウモロコシならヒゲは天日干しにしてお茶に、芯はスープのだしに、皮は草履を編んだり子どものおやつの包みにしたりと、捨てるところがありません。

味噌、豆腐、きなこ、甘酒、お茶、漬物などの加工品も、自分でつくれば安くすむだけでなく、好きな量だけ手に入れられます。日当たりのいい庭では、烏骨鶏を2羽飼い始めました。産んだ卵は食卓に。おいしくて栄養価の高い卵が日々食べられるのです。

100%を自家製で、と目指しているのではありません。野菜も半分は家庭菜園でまかなっていますが、半分は地元の農家や商店から購入しています。楽しまなくては長続きしません。食べ物を無駄にしない暮らしのポイントはあるものを使うと常に考えることです。

実はいま、わが家の冷蔵庫は運転を止めています。「昔は冷蔵庫なんてなかったわ」とのお年寄りの言葉に、興味が湧いたのです。余計なものを買うと腐らせてしまうので、買うものや量を慎重に考える必要があります。でもそのおかげで、本当に必要なものは何かがはっきりとしたのです。

肉や魚は毎日食べるわけではないので、必要な日に必要な量しか買いません。野菜は意外に常温でも持つことがわかりました。昔ながらの日本家屋なので、ジャガイモは玄関に、タマネギは軒下に吊るして長期保存します。結果、冷蔵庫を使っていたとき以上に、食材を傷ませることもなくなりました。食費とゴミの量が減り、電気代も月1000円ほど節約になって、エネルギーの無駄遣いもしないという好循環が生まれたのです。

これらは専業主婦だからできることなのかもしれませんが、お勤めの方であれば「残ったものはとにかく干す」を実践してみてはいかがでしょうか。使い切れなかった大根は刻んで、晴れた日に会社に行く前、ネットに入れて干しておく。2、3日もすればカラカラに乾いています。国産だと買えば高い切り干し大根が、残り物でできてしまうのです。

人参やごぼう、きのこも干すと保存がききますし、インスタントみそ汁の具としても大活躍。冬は、体を温めてくれるショウガを干して粉末にするのがおすすめです。薬味として汁物に加えるなど重宝するはずです。

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省エネ生活研究家
アズマカナコ

1979年生まれ。東京農業大学卒。東京郊外にて築50年超の日本家屋に暮らす。著書に『捨てない贅沢』などがある。

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http://news.goo.ne.jp/article/president/bizskills/healthcare/president_9381.html

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