以前、ライフハッカーでも紹介したように、人間の意志力には限りがあります。では、「自制心」などの意志力を働かせすぎると、どんなことが起こるのでしょうか。米誌『Journal of Consumer Research』は、意志力を使いすぎると攻撃性が上がると発表しています。
「自制した人」と「自制しなかった人」が、「怒り」の要素が含まれる刺激と含まれない刺激に対して、それぞれどのように反応するか、実験が行われました。その結果、何らかの形で「自制した人」たちは、大多数が「怒り」を含む刺激の方を好みました。
研究者たちは、さまざまなタイプの自制について、自制した後の被験者の行動を調査しました。例えば、商品券を使わないよう慎重に自制した人たちは、「おどおどした顔」よりも「怒った顔」の方に、より興味をもちました。ダイエット中の人は、脅迫的な表現の公共サービス広告をより強く好みました。例えば「警官訓練のための予算を増やさないと、脱獄者が増える」などの広告です。チョコレートを我慢してリンゴを選ばなければならなかった被験者は、「すべき」や「しなければならない」などの強制的な響きのある言葉に、よりイライラする傾向が見られました。また、この被験者たちは、見たい映画を選ぶ時に、「敵意」をテーマとした作品を、ほかのテーマのものよりも高い確率で選びました。
今後、自制心を働かせてダイエットや節約に取り組んだり、悪い習慣を改善したりする時は、フラストレーションのため過ぎに注意しましょう。自分の行動を一刻も速く改善しようと焦ると、ストレスをためこんでしまいます。怒りっぽい人にならないためには、自制心を使いすぎないことです。取り組む課題を軽いものにして、無理のない範囲で調整しながら負荷を増やすようにしてみましょう。
「自分を変えよう」と頑張りすぎると、結局はただフラストレーションがたまるばかりで、実際には何も成果が得られずに終わるということになりかねません。これから成し遂げようとしている「変化」とフラストレーションとを結びつけて考えてしまうと、次第にその「変化」が自分を不幸にすると考えるようになってしまいます。けれども実際には、単にあなたが「変化」を求めて焦り過ぎてしまい、それで不幸になっているだけなのかもしれません。
生活の中の何かを変える必要がある時は、その努力がかえって有害なものにならないように、ゆっくりと変えていくようにしましょう。
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/life/living/lifehacker_31315.html