NHKの受信料滞納の時効を巡る訴訟で、時効5年の「家賃」並みにすべきか、10年の「個人間の借金」と同様にするかで、司法の判断が割れている。NHKによると、同種訴訟で2月までに出た確定判決は8件。このうち5件が10年(いずれも簡易裁判所)で、3件は5年(いずれも高裁)だった。上級審は家賃派の5年だが、NHKは、すべての未払い分を取り立てていく方針を崩していない。
民法は「個人間の借金」など一般的な債権の時効を10年と規定する一方、地代や家賃は5年、旅館や飲食店の料金は1年など、債権の種類によって短い期間での時効(短期消滅時効)を認めている。
NHKによると、受信料の長期未収(約1年以上)は2011年度末で約177万件。滞納者らに支払いを求めた訴訟で、短期の時効が適用されるかどうかが争点になった判決は全国で23件あり、8件が確定した(2月27日現在)。
1審の簡易裁判所の判決が確定した5件は、NHK側の主張通り、短期の時効は適用されなかった。しかし、2審の地裁を経て上告審の高裁まで争ったケースは、昨年2月と同11月の東京▽同12月の札幌の各高裁の3件で「5年」が適用。受信料は定期的に支払う家賃と同じ性質の債権と判断された。
NHKによると、06年以降、滞納者に対し、裁判所を通じた督促を開始。異議を申し立てた滞納者との間で1400件以上が訴訟になった。NHKは「公平負担の徹底の観点から、未払いの全期間分を請求するのが基本。時効については各地の裁判所で係争中で、動向を見極めて対応を検討する」としている。【田辺佑介】
毎日新聞
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