福井県が飲用に適した良質なわき水を選んだ「ふくいのおいしい水」に認定されている小浜市小浜浅間の湧水「滝の水」から昨年、大腸菌が検出され、市などが生水での飲用を控えるよう注意を呼び掛けている。しかし現場では「ふくいのおいしい水」の看板と、「生での飲用は遠慮を」と注意喚起する市などの貼り紙が混在。飲むべきかどうか戸惑う市民もいる一方、煮沸せずに飲み続けている人もあり、「自己責任か」「控えるべきか」――と悩ましい状態だ。
後瀬(のちせ)山の山ろくに湧く滝の水は、NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」のロケ地にもなった古い町並みが残る国重要伝統的建造物群保存地区「小浜西組」の一角にある。長年、地域の飲用や酒造りに使われ、地元住民らを中心に多くの人がくみに来ていた。近くには、豊臣秀吉の側室淀君の妹で、江戸初期の若狭小浜藩主・京極高次の妻初(常高院)ゆかりの常高寺もあり、多くの観光客が訪れる。
県は県内47か所の湧水などを「ふくいのおいしい水」として認定。「滝の水」も2008年2月に加えられ、現地に観光案内の木製看板が据えられた。
しかし、昨年5月、7月、8月に県や市の水質検査で大腸菌が続けて検出された。市は同8月17日付で管理する浅間区との連名で「現在、水質が安定していないため、しばらくの間、生水での飲用をご遠慮ください」との貼り紙をした。
現場ではPR用の看板と注意書きの表示が同居するが、住民の高齢男性は「子どもの頃から飲んでいるけれど、そのまま生でも大丈夫。(飲むかどうかは)自己責任」として、今も飲み続けているという。一方、市は「大腸菌がなぜ検出されるか不明だが、安全、健康のため、万が一を考えた。新年度以降も継続して検査しなければ」と引き続き生水での飲用自粛を促す立場に理解を求める。
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