人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って、細菌の増殖を抑える特定の白血球を大量に培養することに、北海道大大学院の若尾宏准教授らの研究チームが成功した。薬が効かない院内感染や多剤耐性結核の治療法につながる可能性があるという。米科学誌セル・ステムセル電子版で22日発表した。
研究チームは、結核菌の感染から体を守るヒト白血球の一種「マイト細胞」に着目。この白血球はそのままでは培養できないため、いったんiPS細胞に変えて大量に増やした上で、マイト細胞に分化させた。免疫不全のマウスに移植したところ、細菌の増殖を抑える効果が確認できたという。
iPS細胞を作る際には遺伝子を傷つけない特殊なウイルスを使うため、移植後がんになる危険もないとしている。
院内感染の原因となるバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)や多剤耐性結核菌など、薬剤では治療が難しい病気で治療に活用できるという。若尾准教授は「iPS細胞で新たな細胞治療を実現したい」と話している。
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/life/medical/jiji-130322X588.html










