妊婦の血液を調べるだけでダウン症など胎児の染色体異常が高い確率で分かる新型出生前診断について、日本産科婦人科学会(小西郁生理事長)は9日、当面は認定を受けた医療機関による臨床研究に限って認めるとする指針を発表した。これを受け、国立成育医療研究センター(東京)など全国約20の医療機関が認定を申請する見込みで、一部は4月にも診断を始める。
指針によると、診断を受ける妊婦は超音波検査などで染色体異常の可能性を指摘された人や、高齢妊娠の女性らに限定する。指針には年齢を明記しないが、35歳以上が目安となる。
実施する医療機関は、染色体異常の特徴や支援体制の知識を持った産婦人科医と小児科医が常勤し、どちらかは臨床遺伝専門医の資格を持っている必要がある。また、遺伝や遺伝子に関するカウンセリングを検査の前後に十分に行わなければならない。
医療系学会でつくる日本医学会が9日付で認定部会を設置。医療機関から申請を受け、条件を満たすかどうか審査して今月中にも登録を始める。
産科婦人科学会は日本医師会、日本医学会などと共同で声明を発表。産婦人科でなくても簡単に行える検査のため、全ての医療機関に指針の順守を求めた。
新型診断の対象は、23対ある染色体のうち21番と18番、13番が通常より1本多く3本ある異常。21番が3本ならダウン症、18番と13番が3本あれば重い心疾患などを伴う。
従来の血液検査より精度は高いが、例えば妊婦が35歳の場合、陽性が出た100人のうち20人は実際には問題がないとみられている。年齢が若いなどリスクが低い妊婦ほど、誤った結果が出る確率が高い。異常の確定には、流産の危険を伴う羊水などの検査が必要だ。
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