骨粗しょう症に関するセミナーがこのほど東京都内で開かれ、骨粗しょう症がもたらす足の付け根の骨折「大腿(だいたい)骨近位部骨折」について、鳥取大学医学部の萩野浩教授が一度起こすと再び発症しやすくなり、骨折の連鎖「ドミノ骨折」が治療に要する医療・介護費を増加させると指摘。薬剤治療による骨折予防の重要性を訴えた。
セミナーは、「医療経済の視点から考える骨粗しょう症 大腿骨近位部骨折が引き起こす骨折連鎖、“ドミノ骨折”がもたらす医療費負担の実態と骨粗しょう症治療」と題して、エーザイと味の素製薬が開催。萩野教授が講演した。
萩野教授は、骨粗しょう症が原因で起こる軽微な力でも骨折する「脆弱(ぜいじゃく)性骨折」の中で、大腿骨近位部骨折が「最も問題」と挙げ、患者の多くが日常生活動作を阻害されてしまうなど、身体能力の低下や死亡の大きな原因になると説明。高齢者に多く発生し、患者数は今後も増加し、30年後には30万人を超えると推測されているという。
対策について萩野教授は「薬剤による骨粗しょう症の予防治療をすれば“次の骨折”を防ぐことができる」と提示。65歳以上の女性約2300人を対象にした同骨折1年後の骨粗しょう症の薬剤治療状況に関する調査データを紹介し、治療ありと回答した人が19%だったことから、「これが日本の現状」とした上で、「残りの8割ぐらいの人がきっちりと治療すれば、再骨折が抑制でき、その後にかかる介護費なども抑制され、医療費はセーブされる」と語った。さらに、「骨折の連鎖を断つことは重要で、1人の患者に対して、医師や看護師、薬剤師などさまざまなスタッフが取り組みを進めていくこと今後重要である」と総括した。(毎日新聞デジタル)
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