◇はしご登はん全国一--高野智章さん(23)
昨年8月に東京都で開かれた第41回全国消防救助技術大会の「はしご登はん」競技の部で、長岡市消防本部の高野智章消防士(23)が初出場で全国1位の成績を収めた。「アドバイスや訓練に協力してくれた先輩のためにも結果が出せて良かった」と喜ぶ。
はしご登はんは、自分の体に命綱のロープを巻き付け、幅約40センチ、高さ15メートルのはしごを上る競技。ロープの結び方など17項目の基準で一つでもミスがあると失格になる。速さだけでなく、安全、確実性も要求される。災害建物への進入など消防活動には欠かせない訓練の一つだ。
1日3~4時間の訓練をこなし大会に臨んだ。特に長岡市消防本部は同競技で3大会連続の2位以内入賞を果たしており、プレッシャーは相当だった。それでも各都道府県の予選を勝ち抜いた51人中、最速の14秒3で栄冠を手にした。
小学生のころに自宅近くで火事があり、消火活動をみて消防士に憧れた。高校に入ると、校舎そばの消防署で訓練する署員をよく見かけ、消防士になる決意を固めた。「日々同じ現場はなく、さまざまな災害に対応できる技術と知識が必要」。目標とする消防士像に近づけるために、勉強にも余念がない。
東日本大震災直後、宮城県石巻市に派遣され、大川小学校などで4日間、行方不明者の捜索活動をした。同小は津波で児童・教職員計84人が死亡・行方不明になった学校だ。「生きている人がいたら発見したかった」。今も悔しい思いを抱く。
今年は別の種目で全国大会を目指す。5人1組の団体戦である「障害突破」競技の部が希望だ。高さ3メートルの高塀越えやロープ渡りなど五つの障害を協力して突破する過酷な訓練だが、いろんな経験が技術を伸ばし、実際の消火・救助活動に役立つと思っている。「もっと力をつけていきたい」。初心を忘れず精進を続ける。
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■人物略歴
◇たかの・ともあき
1989年、佐渡市生まれ。地元の高校を卒業後、08年に長岡市消防本部に入る。総務課消防団係に所属。冬季の休日はスキー場でスノーボードに興じることが多いという。
1月27日朝刊
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