成長期のマウスにストレスを与えると、脳の活動を調節する遺伝子の働きが低下し、認知力の低下などにつながるとする、うつ病発症のメカニズムを名古屋市の大学などの研究グループが発表し、新たな治療薬の開発に役立つとしています。
研究を行ったのは、名古屋市にある名城大学の鍋島俊隆特任教授と名古屋大学などからなる研究グループです。
研究グループでは、うつ病などを発症しやすくしたマウスを、集団と一匹ずつ隔離した場合に分けて、それぞれヒトの思春期に当たる時期から3週間にわたって飼育しました。
そうしたところ、集団飼育したマウスには異常は見られなかったものの、隔離したマウスには、▽認知力が低下する、▽動きに活発さがなくなるなど、うつ病や統合失調症の症状が見られ、脳を刺激する「ドーパミン」という物質を作る遺伝子の働きが大幅に低下していたということです。
こうした症状は、集団飼育に戻しても治らなかった一方で、飼育の前に、あらかじめストレスで分泌されるホルモンの働きを抑えておくと現れなかったということです。
こうしたことから研究グループは、ストレスによって脳の活動を調節する遺伝子の働きが低下してうつ病などが発症するというメカニズムが初めて分かったとしています。
鍋島特任教授は、「発症の仕組みが分かり、新たな治療薬の開発に役立つ」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130118/t10014881231000.html