必要性は感じていても、面倒な家計簿。ただ、無駄遣いを減らし、「生きたお金の使い方」ができるようになるなど、不況で収入が伸び悩む中、大きな効果が期待できるのも事実だ。挫折せず長続きさせるコツを探った。
「ボーナスがいつの間にか生活費に消えてしまう家庭は多い。毎月の収入の範囲内でやり繰りし、貯金をするための第一歩は、家計簿をつけて収支を客観的に把握すること」
貯蓄や家計簿などに関する著書のあるファイナンシャルプランナー、横山光昭さんはこう強調する。横山さんは約6千件の家計を立て直した実績を持つ「家計再生」のエキスパートだ。
横山さんが勧める家計簿を続けるポイントは、(1)レシートなどをため込まない(2)あまり細かく分類しない(3)金額の端数を気にしない-の3点。忙しくても「3日に1度」以上の頻度でつけたい。「『朝起きたら、まず家計簿』のように生活リズムの中に組み込めば習慣化できる」
家計簿は収入と支出を記録するものだが、面倒なのは支出部分。なるべく簡略化するため、支出の費目(種類)は、食費(外食費含む)▽生活日用品▽教育費▽洋服代▽交際・娯楽費▽その他(医療費、交通費含む)-など5~6費目程度に絞る。これに光熱費、通信費、住宅ローンなどの固定費を合わせれば、毎月の支出を把握できる。
計算が苦手な人は、支出額の端数を四捨五入して「百円単位」で記録してもいい。正確さには欠けるが、大まかな金の流れをつかむことは可能だ。
それでもなお「面倒」と思うならば、食費や交際費など「無駄遣いなどが最も気になる費目」からつけてみよう。1~2カ月続け、慣れてきたら徐々に費目を増やしていく。
◆夢や目標を
家計簿で収支を把握したうえで、本格的に無駄な出費を抑えるためには「一つ一つの支出の意味まで考える必要がある」という。例えば、同じ食事でも友達とのランチと家族の昼食では意味合いが異なる。
横山さんは支出について、食費や住居費、光熱費など生活に必要な「消費」▽無駄遣いなどの「浪費」▽貯蓄や習い事など将来に備えた「投資」-に分けて考えることを提案。3カ月程度で集計し、それらの割合が「70対5対25になるのが理想」と話す。
夢や目標を持つことも重要だ。「3カ月後に買いたいもの」「半年後に行きたい所」などを思い描き、必要な資金を考える。その思いが強ければ強いほど家計簿は長続きするという。
別表に「貯金力」チェックテストを示した。10個以上該当する場合、「かなり頑張る必要はあるが、家計簿により家計が改善する可能性も高い」(横山さん)。年の初めに「今年の目標」を掲げたら、家計簿をつけて実現に向けて踏み出そう。(竹岡伸晃)
■ネット上の利用も拡大
書店や文房具店などに並ぶ今年の家計簿。横山さんは「初心者には費目の多くないシンプルなものがお勧め。大学ノートに気になる費目を記録する方法でもいい」と話す。
最近では、紙の家計簿だけでなく、パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)で記録するインターネット上の家計簿サービスの利用も拡大。その多くが支出をグラフ化したり毎月の推移を簡単に比較したりできるなどの便利な機能を備えている。
NTTコミュニケーションズ(東京都千代田区)の「OCN家計簿」は、銀行やクレジットカード、証券などのネットサービスと連動させ、出入金を自動的に家計簿に反映できるのが特徴。NTTメディアサプライ(大阪市北区)の「ネット家計簿ココマネ」は、スマホでレシートを撮影するだけで支払った内容を記録できる。イー・アドバイザー(東京都港区)の「マネールック」、ソニー銀行(千代田区)「人生手帳」などのサービスもある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130110-00000502-san-life