第37回 “消費”なのに「消費税」がかからないものって何?
昨年、消費税の増税に関する法律が成立し、現在5%の税率が、2014年4月から8%、2015年10月からは10%に上がることになりました。
消費税は買い物するたびにかかるので、家計への影響も大きいもの。で、気になるのが、消費税ってそもそも何にかかって何にかからないか、ということです。今回はそれを見てみましょう。
○教育や福祉、医療などの分野では消費税がかからないものも
消費税は、日本国内で商品を買ったりサービスを受けたりした場合、その価格や料金に上乗せされます。例えば、コンビニで100円のアイスを買う場合、コンビニ業者は100円プラス消費税5円の合計105円を受け取り、5円を税務署に納めるという形になっています。商品の価格だけでなく、例えば美容院でヘアーカットしてもらうといったサービスに対する料金も対象です。こうしたすべての”消費”に対して課税されるのが消費税ですが、教育や福祉、医療などの分野では消費税がかからないものもあります。
例えば、学校の授業料、施設整備費、入学金、受験料や、検定済みの教科書には消費税はかかりません。車いすや義肢、盲人用の杖など身体障害者用の商品、介護保険に基づく介護サービスや介護施設の利用料なども非課税です。
公的医療保険の対象である、いわゆる”保険がきく”医療費や出産費用も非課税。ただし、美容整形や差額ベッド代、人間ドックの費用、市販の医薬品など、公的保険の適用を受けないものは消費税がかかります。
○マイホームのうち、消費税がかかるのは建物だけ
商品券やギフト券、旅行券、プリペイドカードなどは、それ自体を買うときは非課税で、それを使って買い物をするときに課税されます。
賃貸住宅に住んでいる人ならご存知のとおり、家賃にも消費税はかかりませんし、土地を借りるときの地代も非課税ですが、部屋を事務所として借りたり、駐車場を借りたりする場合は課税されます。
不動産を買うとき、建物には課税されますが、土地は非課税です。
消費税アップを控え、「マイホームは増税前が買い時!」といった広告を見かけますが、マイホームのうち、消費税がかかるのは建物だけだし、駆け込み需要で住宅の価格が上がり、その反動で増税後に値下がりすることも考えられるので、増税前にあわててマイホームを買うのはおトクとはいえません。
このほかに、株や債券など、消費税がかからないものはいろいろありますが、そうはいっても課税されるもののほうが圧倒的多数です。家賃以外の支出が月に20万円だとすると、税率5%の場合、支払う消費税は1万円。これが10%になれば2万円ですから、1年間で12万円の負担増ということになります。
そのぶん収入がアップすればいいのですが、そうでなければ、これまで以上に節約に努める必要がありそうです。
○執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。新著『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)も発売された。また、リニューアルされたホームページのURLは以下の通りとなっている。
http://www.m-magai.net/
http://news.goo.ne.jp/article/mycom/life/living/mycom_739503.html