70代で亡くなるまで、美肌と黒髪を保ったとされる中国・清朝の西太后(1835~1908年)は、権力欲だけでなく美容への関心も高く、薬膳で「美と健康」を追求したという。特に好んだのがヤマイモ。ヤマイモを使った薬膳を紹介する。
40歳過ぎたら
「西太后は40代後半からひどい更年期障害に悩まされ、不眠や消化不良に苦しんだ」と話すのは、東京都目黒区で料理教室「漢方キッチン」を主宰する薬膳料理研究家、阪口珠未(すみ)さん(44)。阪口さんは平成3年に訪中。日本初の薬膳専攻国費留学生として、中国・北京中医薬大学で学んだ。
最近10年間で、中国では解放政策で清朝時代の文献が相次いで公開されるようになったことから、歴代皇族の医食を研究。『西太后のアンチエイジングレシピ』(主婦の友社、1449円)を出版した。
美食を極めながらも、「医食同源」の考えから漢方や薬膳など体に良いものを取り続けたという西太后。中でも、胃腸が弱かったため、ヤマイモを特に好んで食べたという。
ヤマイモは胃腸を守り、疲労を回復させる。漢方の生薬としても使用され、「疲れやすい」「胃弱」「風邪をひきやすく、長引く」「肌のハリが気になる」などの症状におすすめだ。男女ともにホルモンバランスを整える働きもあるため、「40歳を過ぎたら、黒ゴマやナッツ類とともに毎日少しずつ食べるといい」と阪口さん。
気軽に食卓に
ヤマイモ料理というと、すり下ろしてとろろにするか、短冊にするしか思い浮かばないが、「蒸す」「焼く」「揚げる」の調理法もよく合う。ふかすと、生で食べるときのネバネバ感が消え、口がかゆくならない。また、レンコンと一緒にフライドポテト風に揚げる=レシピA=と子供のおやつにもなる。カキとヤマイモは、薬膳では「滋養強壮」の代表的な組み合わせ。カキのうま味が凝縮するピカタ(溶き卵を絡ませたソテー)風=同B=が今の季節にぴったりだ。
阪口さんは「ストレスの多い環境で『欲しいものは欲しい』と貪欲に求めた西太后は現代女性にも通じる。薬膳を気軽に食卓に取り入れ、食材で『命の火』を補って」と話している。
A【ヤマイモとレンコンの素揚げ】(2人分)
〈材料〉
ヤマイモ …………………200グラム
レンコン …………………100グラム
揚げ油………………………適量
青のり、塩、粗びきコショウ ………………各少々
(1)ヤマイモとレンコンは皮をむき、1センチ角の棒状に切って水に浸してざるに上げ、水気を拭く。
(2)揚げ油を中温(160度)に熱し、ヤマイモを揚げ、表面がきつね色になったら取り出して油を切る。塩と青のりをふる。
(3)同様にレンコンを揚げ、油を切り、塩と黒コショウをふる。
B【カキとヤマイモのピカタ風】(2人分)
〈材料〉
カキ…………………………8個
ヤマイモ …………………200グラム
ニラ…………………………1/2束
卵……………………………1個
かたくり粉…………………大さじ2
塩……………………………小さじ1/4
コショウ……………………少々
サラダ油……………………大さじ2
煎り黒ゴマ…………………適量
レモン………………………くし形切り2切れ
(1)ヤマイモの皮をむき、すり下ろしてボウルに入れ、卵、かたくり粉、塩、コショウを加えて混ぜる。ニラは2センチに切り、混ぜ合わせる。
(2)カキは塩(分量外)をふって軽くもみ、水洗いして水気を切り、軽く塩、コショウ(各分量外)する。
(3)フライパンにサラダ油大さじ1を熱して(1)の生地を大さじ1程度入れて小判形に8個作る。
(4)(2)のカキを一つずつ生地にのせ、その上に(1)の生地を薄くのせ、ゴマをふる。
(5)中火でこんがりと焼き、裏返したら、残りのサラダ油大さじ1を回し入れ、蓋をして3分ほど焼き、器に盛り、レモンを添える(しょうゆや塩で味付けしてもいい)。
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