くじら、食べたことある?政府や業界関係者、消費拡大にあの手この手
「鯨(クジラ)肉」を、食べる機会が少なくなって久しい。1982年のIWC(国際捕鯨委員会)の商業捕鯨全面禁止(モラトリアム)の決議以降、日本では水産庁の関連公益法人である日本鯨類研究所が中心となり、1987年から調査捕鯨という形となった。この影響で、鯨肉は調査捕鯨の副産物となり、流通量も減少し、いまやその存在は風前のともしびだ。
海外からの批判も一向に収まらない。日本の調査捕鯨船団に向けての環境保護団体による妨害がひんぱんに発生しており、諸外国の意見に敏感な日本では、鯨肉を食べることをためらう風潮も生まれつつある。さらに予算面でも逆風だ。先日も、東日本大震災の復興予算にもかかわらず、23億円が調査捕鯨事業に充てられたことがわかり、計上した水産庁は批判の矢面に立たされた。
まさに四面楚歌状態の鯨肉。しかし鯨肉の国内消費拡大なくしては捕鯨そのものの存亡にもかかわると、このところ関係者の鯨肉売り込みは、いつになく活発化している。
水産庁は調査捕鯨の制度を一部改めるようだ。調査捕鯨には年間約50億円の費用がかかる。その資金の原資は、国からの予算と捕獲した鯨肉の販売収入だ。そこで調査捕鯨存続には鯨肉の売上げ増が不可欠と、2013年以降はこれまで限られていた鯨肉の販売対象を個人向け通信販売や外食産業などに広げ、鯨肉の消費拡大をもくろむ。
そんな中、かつて商業捕鯨で栄えた山口県では、新しい鯨肉製品もお目見えした。「鯨肉のミートソース(80グラム入1袋・525円)」は、下関商業高校生徒の企画を、鯨加工メーカーである東冷(本社:山口県下関市)が製品化したもの。トマトと鯨肉の相性は抜群で美味と評判だ。
また、鯨肉のお好み焼き「鯨玉(くじらだま・840円)」に舌鼓を打てるのは、山口県内他でお好み焼きチェーンを展開する「かわ本」。関西風のお好み焼きの具には、炒めた鯨の赤身、そしてソースには鯨のすじ肉が入る。地元・山口の名物メニューになればと、同店が試行錯誤の末に開発した逸品だ。
賛否両論の鯨肉。果たして飽食の日本において、関係者の努力は実を結ぶか、今後の動向に注目が集まる。
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