目もとを印象的に見せられるとして若い女性に人気の「まつげエクステンション」の健康トラブルがやまない。施術には美容師の資格が必要だが、無資格者が手がけるケースが横行するほか、美容師自身の技術不足も指摘される。厚労省は眼科医などへの実態調査に着手。美容業界と安全な施術に向けた教育システムの構築にも乗り出した。
■7割が無資格?
「まぶたがはれて痛い」「角膜を傷つけられて視力が低下した」…。平成21年度以降、国民生活センターには、まつげエクステに関する相談や苦情が毎年度90件前後寄せられる。今年度は10月末で70件を超えた。
まつげエクステは、まつげ一本一本に接着剤で人工毛を取り付け、まつげを濃く長く見せる技術。のりなどではり付ける「つけまつげ」とは異なる。若い女性に人気だが「接着剤が目に刺激を与え、皮膚につくとやけどの恐れもある」と同センターはリスクを指摘する。
施術には美容師資格が必要だが、ある業界関係者は「技術は韓国から伝わったといわれ、広がり始めたのは10年ほど前から。当時は美容師資格が必要と知らない者も多かった」と話す。
厚労省は20年、業務が適正に行われるよう自治体などに通知。しかし「施術店は東京を中心に1万店以上で、6~7割は無資格者の店ともいわれている」と話す美容業界幹部もいる。
さらに、業界の教育システムが追いついていないという課題も横たわる。
全日本美容業生活衛生同業組合連合会によると、多くの美容専門学校が使う教科書にまつげエクステの記述が登場したのは今年度からで、内容も基礎的説明にとどまる。美容師の国家試験でまつげエクステの出題例もないという。多くの生徒は経験者らが行う講習会などで技術を習得。施術時の安全基準や指導水準は統一されていない。
■必修授業を導入
こうした現状を受け、厚労省の検討会は8月、施術者に対する教育プログラムづくりが必要との見解で一致。近く業界団体と、具体的な制度確立に向けた話し合いをスタートさせる。
環境整備が急がれる中、独自に動き出した学校もある。窪田理容美容専門学校(東京)は昨年から、まつげエクステの専門カリキュラムを美容科の必修とした。同校教務部の大沢克喜部長(45)は「技術者をどう育成していくかが課題。業界を挙げ、早急な環境整備が必要」と話す。
■まつげエクステンション まつげ一本一本に化学繊維などでできた人工毛を接着剤で付けていく技術。人工毛は片目だけで60本近く使われることもある。風呂やプールに入っても取れず、通常3~5週間保つことができる。施術は1回1時間ほどで料金は5千~1万円が主流。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121123/trd12112322170012-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121123/trd12112322170012-n2.htm