寛容であることは良いことだとされている。さまざまな調査でも寛容な人の方が一般に幸せで健康だとの結果が出ている。そういう人の方があれこれ思い悩まず、ストレスが少ない。コレステロール値も低い。
だが、ある調査によって、寛容さにもマイナス面があることが明らかにされた。怒りや恨み、復讐(ふくしゅう)心を解き放つ方が、とりあえずは傷つけられた本人にとって良いことである可能性もある。だが、自分を傷つけた相手を許してしまうと、相手に同じことを繰り返させることにもなりかねない。専門家によると、本当の意味で相手を許すには一定の過程が必要で、長年かかる場合もある。また、すぐに許してしまわない方が良いという。
寛容さのマイナス面とプラス面を研究している米フロリダ州立大学のジム・マクナルティ教授(心理学)だ。マクナルティ氏は2010年に実施した調査で、135組の新婚カップルに日記を渡し、各自に「あなたの配偶者は今日、あなたが嫌がるようなことをしましたか。また、あなたは相手を許しましたか」という質問に1週間毎日回答してもらった。その結果、人々が相手を許した翌日、許さなかった時と比べて、相手が再び何か嫌なことをしたと回答する確率が6.5倍も高かった。
また、マクナルティ氏は他の調査を実施し、いつもやられっぱなしの人各自が自らをどのくらい寛容であるか、そして、良い人間だとみているかを調べた。それには、「わたしは他人のことを気にかけている」、「わたしは優しい心を持っている」といった質問に回答してもらった。その結果、ある調査では、素敵な配偶者を持ち、相手に寛容な人々は自分のことを良く思っていることがわかった。一方、良い配偶者を持っていない人々は自分のことを良く思っていなかった。
http://news.goo.ne.jp/article/wsj/life/wsj-20121105-02.html