「胸」は女性にとって大切なもの。そんな「胸」のこと、みなさんはどれだけ気にしていますか? 実は、10月はピンクリボン月間として、日本人女性の16人に1人がかかると言われている「乳がん」について正しい知識を広め、検診の早期受診を推進する啓蒙活動が行われています。そこで、先日行われた「ピンクリボンシンポジウム2012」で、乳がんの最新事情を聞いてきました。
がん研有明病院乳腺センター長の岩瀬拓士先生によると、乳がんは女性のがんのトップなのだとか。がん患者全体の17.8%(2005年 がん研究振興財団調べ)もの割合を占め、これは日本人がかかりやすい胃がんよりも多い数字なのだそう。
岩瀬先生は「それなのに女性たちは自分の胸にあまり関心がないらしい」と語ります。というのも、日本ではいまだに24.3%(2010年 国民生活基礎調査調べ)の女性しか乳がん検診を受けていないからです。アメリカでは多くの女性が乳がん検診を受けており、実際に乳がんでの死亡率が減少してきているのだそうです。
そもそも、乳がんはどのようにしてなるのでしょうか? 岩瀬先生によると、「乳腺のなかに通っている乳管の細胞ががん化して乳がんになります。0.7mmの内視鏡でのぞくと、正常な乳管はなめらかで光沢がありますが、がんになると表面がデコボコとしています。がん細胞が増えるとさらに隆起してしこりを作るのです」とのこと。
とはいえ、乳がんの初期は触って分かるほどのしこりではないそう。「初期段階では、がん細胞も直径1mm程度なので医者が触っても分かりません。乳管を破ってほかの乳管やリンパに転移しだすと触って分かる大きなしこりになるのです」(岩瀬先生)
そのため、転移前に発見するためにも、乳がん検診が有効だと言います。「マンモグラフィを毎年撮っている人が、去年はただの影だと診断されたものが1年後に少し大きくなっていて、それでがんだと分かったという例もあります。本当の早期発見は無症状なのです」(岩瀬先生)
もし自分の胸にしこりを発見した場合は、「乳がん検診」ではなく病院での「検査」が必要になります。そのしこりが良性か悪性かを精密検査で判断しなければならないためです。しこりがあっても適切な治療ができれば、乳房を残したまま治療をしたり、副作用がつらい抗がん剤を使わなくていいこともあるそうです。
シンポジウムの最後に岩瀬先生は、「乳がんはごく早期に発見すれば約90%が治ります。がんの治療は火事と一緒で、初期消火が大切です」と、乳がん検診の大切さを力説しました。
私たち女性が検診を受けさえすれば、乳がんでの死亡率は確実に減らすことができます。そのためには、まず日ごろからセルフチェックを心がけ、検診への意識を高めることが大切です。
●ピンクリボンフェスティバル公式サイト
http://www.pinkribbonfestival.jp/
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