毎週のように学校を訪ね、たくさんの授業を見ています。そして、先生方から授業への想いを聞いています。
小学生から高校生、そして、先生や保護者のかたに役立つ教育番組を制作するためです。そのなかで、「こんな先生に教えてほしい」と思った先生方のことを書かせていただきます。
今回紹介するのは、北海道のNa先生の小学6年生に向けた総合的な学習の時間の授業です。
Na先生が目指すのは、子どもの心が動かされ、全員が本気で意見を出し合い、そのなかで、新たな発見や価値を見つける授業です。
そこで、取り上げるテーマは、身近なものから選ぶことが多いそうです。そのほうが、子どもたちが「こだわって」積極的に調べ、「考える力」が育つからだそうです。
今回、Na先生が選んだテーマは「道」です。
いつも歩いている「道」には、歴史、物流、福祉、お金、交通、人間の営みなどさまざまな要素が含まれ、たくさんの不思議が隠れています。さらに、《公共性》を考える点でも、魅力的なテーマです。そのうえ、北海道は、開拓との関連や除雪とのつながりもあるので、子どもたちの生活と深く結びついています。
そう、あって当たり前の「道」だからこそ、見つめ直して得た発見は心に響くとNa先生は考えました。
授業は、「道」と書いた習字の字を見つめ直すことから始まりました。
そして、先生からは、「道の役割は何か?」「もし、道がなかったら?」と思いがけない質問を投げかけます。たくさんの疑問が浮かんだところで、子どもたちは通学路で、実際に調べ始めます。
この時のキーワードは、「触って」「数えて」「測って」「こだわって」。
これ、調べ学習の良いポイントをついていると思います。
さて、子どもたちは、
「車道に置いてある黄色い樽は何のためにあるのか?」
「歩道の点字ブロックには、なぜ黄色と緑色があるのか?」
「歩道の端に置いてある30センチ四方の石は何なのか?」
などなどさまざまな発見をしていきます。
ちなみに、調べてみると hellip;
Q「車道に置いてある黄色い樽は何のためにあるのか?」
A クッションドラムといい、事故の時、衝撃を和らげるもので、中にある袋には、冬でも凍らない水が入っている。
Q「歩道の点字ブロックには、なぜ黄色と緑色があるのか?」
A 道路の色に応じて、見やすいように黄色と緑を使い分けている。
Q「歩道の端に置いてある30センチ四方の石は何なのか?」
A 石は、ボラードといい、30センチ四方の大きさは、歩道に車が乗り上げないよう、科学的に考えだされたものだそう。
という意外な事実を発見しました。
授業の最後は、しんにょう( #36790;)に、字を加えて新しい字を作ります。
#36790;+安心、 #36790;+平和、 #36790;+物、 #36790;+歩、 #36790;+犬、 #36790;+未来、 #36790;+夢 などなど。
この授業は、子どもたちに多くの視点を持たせるとともに、社会に敏感にさせる効果があったと思います。
このように、汗をかき、自分で調べる面白さを知り、記憶の中にしっかり根付くことこそ、学校ならではの「学び」だと思います。
http://study.goo.ne.jp/special/news/201210162.html