今秋、県内ではツキノワグマの目撃情報が相次ぐ。クマの餌となるブナの実が凶作で、冬眠を控えた多くのクマが餌の少ない山奥から人里に下りて餌を探し回っている可能性が高い。上越地域では男女2人が襲われて負傷するなどの被害が出たこともあり、鈴や笛などクマ対策用品の売れ行きが急上昇。アウトドア用品を扱う店の中には完売したり、品薄状態のところもある。
上越市環境保全課によると、市内の12年度のクマの目撃情報は28件(15日現在)で、前年同日比で8件多い。一方、県環境企画課によると、県内の目撃・痕跡報告件数は390件(16日現在)で、すでに11年度(182件)の倍以上。けが人も5件6人に上っている。
上越市のある大型スポーツ用品店では、クマよけ用の鈴と笛が先週末で完売した。市内の住宅街で6日、男女2人がクマに襲われて負傷して以降、急速に売れ行きが伸びたという。同店は15日、本社に再入荷を手配した。
行楽やキノコ採りで山に入る人が増えるこの季節。店員によると、電話でクマ対策用品が置いてあるかとの問い合わせや、登山に生徒を連れて行くという学校関係者からの照会もあったという。
妙高市朝日町の大原スポーツ新井店では、鈴と笛が音の大きなものから売れていくという。先週末にはほぼ売り切れ。急いでメーカに追加を注文した。
同店では、登山者だけではなく、山に近い地域に住む人が日常の警戒用として購入するケースもあるという。男性店長は「クマの多い年はよく売れる傾向があるが、今年は街に近い所でも目撃されているようなので、例年以上に住民の間に不安が広がっているのだろう」と推し量る。
クマ対策用品の売れ行きアップは上越地域だけではないようだ。大手ホームセンター「コメリ」(本社・新潟市)によると、全県で品薄気味になっているという。県環境企画課では「クマが冬眠に入る12月ごろまでは注意が必要」と呼びかけている。
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