[ カテゴリー:医療 ]

<医療&健康ナビ>子宮頸がん健診

◇使用器具で精度に差

「検診で早期発見すれば予防できる」とされる子宮頸(けい)がん。だが専門家は、検診で使う器具の種類や検診方法によって、異常が見落とされる恐れを指摘する。せっかくの検診を無駄にしないためには?

◇原因はウイルス

子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)に発生する。原因はヒトパピローマウイルス(HPV)で、1度でも性交の経験があれば、年齢や回数にかかわらず感染の可能性がある。

国立がん研究センターによると、日本では年間約9000人が子宮頸がんと診断され、約2600人が死亡している。感染後がんになるまで約10年かかるとされるが、自覚症状がほとんどないため、検診で事前の異常を見付けることが不可欠だ。

検診は産婦人科医が専用ブラシなどで子宮頸部を軽くこすって細胞を採取。それを薬品で処理してスライドガラスにこすりつけたものを、細胞検査士が顕微鏡で調べる。

◇綿棒、見逃す恐れ

採取に使う器具は特に指定がない。検査を請け負う「日本セルネット」(京都市)の加藤順子さんらが11年に実施した調査によると、標本2万9680件のうち、綿棒を使い細胞を採取したものが1万9729件(66・5%)と突出して多く、ブラシ2997件(10・1%)、サイトピック570件(1・9%)――と続いた。異常(陽性)と異常が疑われた標本を器具別に分類すると、綿棒3・4%▽ブラシ8・0%▽サイトピック6・0%。綿棒とブラシの比較では有意差が認められた。

NPO「子宮頸がんを考える市民の会」副理事長で細胞検査士の高山須実子さんは「綿棒では、異変のある細胞を取り逃す恐れがある」と話す。

ブラシは1本40~80円程度と綿棒より高いため、普及が進まない原因になっているようだ。だが高山さんは「受診者は数十円を自己負担してでもブラシを選ぶのでは。精度の高い器具を標準で使うべきだ」と訴える。

◇欧米は感染有無も

そもそも、日本の検診受診率は、欧米と比べてかなり低い。OECD(経済協力開発機構)によると、米国が8割超、欧州諸国が7割前後なのに対し、日本は2割台前半にとどまり、加盟34カ国中で最低レベルという。

検診の方法も異なる。日本の子宮頸がん検診は現在、がんやがんの兆候となる異常な細胞がないかを調べる細胞診だけ。欧米ではさらに、発病原因であるHPVの感染の有無を調べるHPV検査を併用することが多い。HPV検査は将来の発がんリスクを知るのに有効とされ、USPSTF(米国予防医療専門委員会)は今年3月、併用検診を推奨する検診ガイドラインを出した。

東京女子医大病院産婦人科の平井康夫教授が、08~09年に併用検診を実施した2394人を調べたところ、細胞診が陰性(正常)でHPV検査が陽性だった人が104人いた。うち15人は細胞に異常があり、放っておくとがんになる可能性があることも分かったという。

「HPV検査を併用することで、発がん前に感染を検出でき、より確実に予防できる。効率よく検査でき、医療費も抑えられる」と平井教授は語る。

厚生労働省がん対策・健康増進課によると、併用検診を実施しているのは全国で26自治体だけ(10年1月現在)。だが、07年度から住民検診に併用検診を取り入れた島根県出雲市では、細胞診だけのころと比べ、異常を見付ける割合が約2・2倍に増え、検診助成費は約3割減ったという。

日本産婦人科医会がん対策委員会は昨年11月、併用検診について「精度が飛躍的に向上することが期待される」との見解を発表。世界的な流れを受け、同省は来年度から、検診にHPV検査を導入する方針だ。

ようやく国内でも始まった併用検診への流れに、子宮がんと卵巣がんの患者会「らんきゅう」管理人の女性(38)は期待する。自らも検診で「異常なし」と言われた半年後にがんが見つかり、29歳で子宮と卵巣を全摘した経験がある。女性は「検診の精度が高まるのなら一刻も早く導入し、私と同じような思いをする人を減らしてほしい」と訴えている。

http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/medical/20121001ddm013100030000c.html

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